滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」
朝の食卓においしい革命を起こす?――「BALMUDA The Toaster」のヒミツ(2/4 ページ)
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
「トースターを作ろうと考えたのは、今からちょうど1年くらい前でした。たまたま社員全員でバーベキューをやろうと企画していて、ある平日に会社を休みにして、みんなで小金井公園に行きました。その日はとんでもない土砂降りで、本来はバーベキューなんてやれるような状況ではなかったのですが、せっかく皆で予定合わせたので、濡れないように木などに幌ターフを掛けたりして決行しました」(寺尾氏)。
ちょうどその頃、トースターを開発していたため、社員が気を利かせてパンを持ってきていた。それをバーベキューの炭火で焼いて食べてみたところ、「これが驚くほど美味しかったんです」。
しかし、後日社内で同じように炭火でパンを焼いてみても、その時の焼き上がりには到底及ぶものではなかった。首をかしげていると、社員の1人が「あの時、土砂降りでしたよね?」とつぶやいたことが大きなヒントになる。もちろん、バーベキューの時に湿度を計ったりはしていなかったが、「パンを美味しく焼くには水が必要なのか?」という漠然としたイメージが生まれたという。
寺尾氏は、自身が足しげく通っている吉祥寺のベーカリー「ダンディゾン」のオーナーに連絡を取る。実はかつてオーナーから「バルミューダ製品のファンだ」という手紙をもらっていたからだ。「『ダンディゾン』は、“毎日食べるパンだからこそ、美味しくて、体にやさしい”というキャッチフレーズを掲げ、地元だけではなく、遠方からのお客さんも絶えない名店です。そのオーナーである引田さんの考えに共感し、ぜひ美味しく焼けるトースターを開発し、メーカーとしてのやり方で焼きたてパンの美味しさを世の中に広めたいとお伝えしたら、快諾していただきました」。
社員十数人で営業前の店舗に上がり込み、本当に焼きたてのパンを食べさせてもらうことになった。そして実際に作業の様子を見せてもらうために厨房に入った時、「そのオーブンが電気で動いていること、そしてスチームが使われていることが分かりました」。
おそらくラック型のスチームオーブンが使われていたと思われるが、そこで水を使うことが美味しいパンの焼き上がりにつながるという考えに確信を得た寺尾氏。その後はトースターにどのように、どの程度の水を使えばいいのかを探るため、トライ&エラーを繰り返す。そうして完成したのが、同社の「スチームテクノロジー」だ。
「スチームテクノロジー」では、パンを焼く前にトースター上部から水を入れる。付属のカップで5ccの水を入れると焼いている間に蒸気となり、薄い“水の膜”がパンの表面を覆った状態になるという。すると中の水分は逃げにくく、ふわっと仕上がり、表面はカリッと焼ける。
もちろん、完成までの道のりは平坦ではなかった。「注水口の場所、スチームの出し方など、さまざまな方法を何十パターンも繰り返し試しました。注水口は扉側につけることも考えたのですが、基板があったりするので、万が一、水がかかってしまうと故障の原因にもなりかねません。また熱い部分に設けると作業時に火傷をしてしまう可能性もあるため、最終的に天井部のフロントに搭載しました。スチームを発生させるために、給水パイプに注がれた水をボイラーヒーターで温める方法を採用しています。これにより焼く前に、庫内にスチームを充満させると同時に、パンの周囲に“水分の膜”をはります」。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」
モノ雑誌で白物家電を約10年担当し、メーカーからの信頼も厚いフリーランスライター、滝田勝紀(たきたまさき)氏が最新家電のスゴイ技術を紹介するインタビュー連載。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR