海賊版より魅力的なサイトを 一歩先行く「アダルトコミック業界」に学ぶ(1/3 ページ)
出版社横断の使いやすい公式プラットフォームを立ち上げるべき――これは「漫画村」をはじめとする海賊版サイトへの対抗策として、しばしば挙げられる案の1つだ。しかし、現状は各出版社の漫画アプリやサービスなどが乱立しており、ユーザーにとっては決して使い勝手がいいといえる状況ではない。
出版社を横断する漫画のポータルサイトについては、講談社の広報室長がITmedia NEWSの取材に対して「他の出版社と非公式に話をした人間もいるが、具体的な仕組みを描くまでには至らず、なかなか話が進んでいないのが実情」と言及。問題意識はあるものの、課金の仕組みや立て付けなどを含め議論すべきことが多く、難航しているという。
漫画版「Spotify」や「Apple Music」(定額制音楽ストリーミングサービス)を求める声も少なくない。漫画と音楽ではコンテンツの性質や消費の仕方、前提とするマーケットの大きさが異なるが、参考にできる部分もあるだろう。
一方、アダルトコミック業界に目を向けると、日本市場向けに定額制アダルト漫画読み放題サービス「Komiflo」が提供されている。ワニマガジン社、コアマガジンなど、出版社横断で連携しているのが特徴だ。
4月23日にイベントスペース阿佐ヶ谷ロフトAで開催されたイベント「海賊サイトによりマンガ文化が壊される!作家が生き残る方法とは?」に登壇した、美少女コミック研究家で「エロマンガ表現史」などの著書で知られる稀見理都(きみりと)さんは、「アダルトコミックは特別な業界で、一般的な漫画の枠に入らない例がある」と前置きしながらも、「Komifloは実際に出版社横断で定額読み放題サービスを提供している。(一般の漫画出版社も)参考にできる点はあるかもしれない」と語った。
登壇者一覧(敬称略)
瀬尾 太一(写真家、日本写真著作権協会常務理事)
森田 崇(漫画家)
楠 正憲(国際大学GLOCOM客員研究員)
植村 八潮(専修大学教授、元出版デジタル機構会長)
仲俣 暁生(編集者、Webメディア「マガジン航」編集発行人)
稀見 理都(美少女コミック研究家)
鈴木 みそ(漫画家)
データジャーナリストA(匿名)
鷹野 凌(日本独立作家同盟理事長)
まつもと あつし(モデレーター/ジャーナリスト)
イベントでは、「出版社が海賊版サイトをうまく取り込めるといい」という案も。実際、日本作品を無断でアップロードしていた海外サイトに日本企業が声を掛けて公式パートナーにしてしまった例として、米国のアニメ配信サービス「Crunchyroll」(クランチロール)や中国の動画共有サイト「bilibili」(通称、ビリビリ動画)、アダルトコミック配信サービス「FAKKU」などが挙げられる(いずれも国外向けサービス)。
しかし、海賊版サイトは運営やドメイン、サーバなどが海外であることも多く、悪質なサイトの場合はそもそも取り合ってもらえない可能性もある。
日本の漫画市場はどうなっていくのか。海賊版サイト対策にまい進し、一歩先を行くアダルトコミック業界から学べることは。Komifloに聞いてみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
6
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
7
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
8
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
9
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR