ITmedia NEWS > ネットの話題 >
ニュース
» 2018年04月26日 10時00分 公開

ブロッキング対象、なぜ「漫画村」「Anitube」「MioMio」なのか 権利者団体・CODAに聞く (2/4)

[岡田有花,ITmedia]

 この2サイトは、掲載されている大量の動画コンテンツほぼすべてが著作権を侵害しており、アクセスがほとんど日本からという“真っ黒”なサイト。CODAからの削除依頼に応じず、刑事告訴を行うなど法的手段を執っても違法コンテンツを削除しないなど、特に悪質だった。

 Anitubeは99%が日本からのアクセスだが、運営はブラジルで、ドメインがスウェーデン、サーバがアメリカにあった。16年3月、CODAを通じてブラジル警察に告訴状を提出し、ブラジル警察が17年1月に差し押さえ、検察が10月に起訴している。だが被疑者は、Anitubeをブラジルとアメリカからだけ見られなくする「ジオブロッキング」を行った。日本からは視聴できる状態だが、ブラジル国内での侵害事実はなくなったため、ブラジル警察からは訴追されない。手詰まりになってしまった。

 MioMioは中国のサイトだ。16年6月に中国の国家版権局に情報提供したところ、版権局が行政処罰を行い、いったんは、削除依頼した動画を消すようになった。だが、その後すぐ削除をやめたため、11月に再び、行政処罰を求めるべく、「行政投訴」(告訴状のようなもの)を国家版権局に提出。版権局は再び行政処罰を行い、指導・罰金を科した。その後MioMioもジオブロッキングを行い、中国国内では視聴できないが、日本からは見られる状態になった。版権局によると「中国国内では違法ではなくなったため、取り締まれない」との答えで、対策が手詰まりになった。

――CODAが直接対策を行っていない「漫画村」も、CODAがブロッキング対象に提案したのはなぜか。

 「漫画村」については、出版社から情報共有を受けていた。出版社は削除要請を繰り返してきたが、まったく無視されている。そんな中、「小中学生が漫画村を読んでいる」という記事がメディアに出た。「漫画は無料で当然」だと低年齢層に浸透してきてしまい、ビジネスモデルが崩壊する危機的状況だ。

 また、CODA独自の調査により、漫画村は、登録者の完全匿名性を売りにしたドメイン登録サービス「Njalla」と、著作権侵害コンテンツの削除依頼に応じないことで知られるCDN「Cloudflare」を使っていることが分かり、悪質かつ権利行使は極めて困難と判断した。

 このため、「Anitube」「MioMio」「漫画村」を合わせて、2月16日の知的財産戦略本部の会合でブロッキングを提案し、4月3日に行われた自民党のコンテンツに関する会合でお話をさせていただいた。

 実はCODAとしては以前から、ブロッキングには慎重だった。通信の秘密の侵害に当たる可能性もあり、ISPのリスクが大きい。だが今回は「お手上げ」の状況。あらゆる手段を取ってもダメだったため、政府にお願いすることになった。

――CODAは16年から、知財本部の会合で海賊版サイトのブロッキングを提案してきた。それから2年以上経って急に、政府がブロッキングを促す方針を出した。

画像 CODAが18年2月の知財本部の会合に提出した資料(PDF)より。16年からブロッキングを提案していたことが分かる

 「Njalla」や「Cloudflare」のようなサービスが出るなど状況が変わる中、われわれの問いかけに対して、「喫緊の課題であり、緊急的措置が必要だ」と、政府・自民党にご理解いただいた。正直、こんなふうになるとは驚いた。2年間で大きく環境が変わったということだろう。

 ただ、今回の3サイトのブロッキングはあくまで緊急対策、緊急の“止血”であり、政府は、ブロッキングやリーチサイトに対する法制度を整備し、来年の通常国会に法案を提出しようとしている。これが重要だ。

「海賊版サイトによる被害額4000億円」の根拠は

――CODAは、3サイトによる被害額を「合計約4000億円」と試算し、知財本部の会合で説明した。内訳は「漫画村」が約3000億円、「Anitube」が約880億円、「Miomio」が約250億円としている。算定の根拠は。

 被害額は、アクセス解析サイト「SimilarWeb」のデータを基に算定している。CODAは、米国の映画を保護する組織・モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)と提携しており、MPAが被害額の算定にSimilarWebを使っているため、それにならっている。

画像 SimilarWeb「漫画村」のアクセス解析結果より

 漫画村は、17年9月〜2月ののべアクセス数(Total Visit)が6億1989万。それに、漫画や雑誌の平均単価515円を掛け合わせ、合計3192億円と計算した。Anitubeは同じ期間でのべ2億4810万アクセスあり、アニメの動画のダウンロード平均単価を356円を掛けて883億円、MioMioはのべ7010万アクセスに対して356円を掛けて249億円だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.