小寺信良のIT大作戦
気がつけばフェードアウト? ビデオカメラの歴史を振り返る(3/5 ページ)
ハイビジョン化と記録フォーマットの乱立
ハイビジョン放送がスタートしたのは2000年。それに先立って放送機器クラスでは、すでにカメラはハイビジョン化されていた。
コンシューマーでは、2003年にはDVフォーマットを拡張したHDVフォーマットが登場した。製品で先行したのは日本ビクター「GR-HD1」で、720pではあるものの、製品化1番乗りを果たした。ただ主力は日本の放送フォーマットで採用された1080iで、どちらかといえば翌2004年に発売されたソニー「HDR-FX1」の方が記憶に残る方も多いだろう。
2000年辺りで記録フォーマット革命が起こる。時系列がまた前後してしまうが、メモリカードに動画を記録するというコンセプトは、デジカメ文脈では1999年頃から始まった。ビデオカメラ文脈では同年のシャープ「インターネットビューカム」こと「VN-EZ1」があった。これはスマートメディアに記録するものだった。
2002年には松下電器が「D-Snap」という名称で、SDカードに記録するMP4カメラを登場させた。これはどちらかというと「SDカード vs. メモリースティック戦争」の産物であるが、翌2003年の三洋Xacti初号機の登場で、動画をメモリカードに撮るのが「安かろう悪かろう」ではなくなっていった感がある。
パソコン史に詳しい方なら、2000年頃からパソコンでもDVDライティングブームが起こり、「DVD-RAM vs. DVD-R/RW vs. DVD+R/RW戦争」が勃発したのはご記憶だろう。
この流れはビデオカメラにも及び、2003年には日立が8cmDVD-RAM/Rに記録する「DVDCAM」を登場させ、人気を博した。松下電器にも製品があったが、これは同じDVD-RAM派である日立からのOEMであったはずである。
一方でDVD-R/RW派では、ソニーとキヤノンが8cmDVD-R/RW記録の製品で対抗した。ソニーはレコーダーではDVD+R/RW派だったのだが、ビデオカメラではDVD-R/RWが採用されるなど、社内で割れる結果となった。
2004年にはHDDに記録するビデオカメラとして、ビクターが「Everio」の初号機を登場させた。小型HDD搭載ということで、2005年には東芝も「GigaShot」でビデオカメラ業界に参入したが、離脱も早かったので、これはご存じない方も多いかもしれない。
ここまでは、SD記録の話である。2006年には、ソニーと松下電器が共同で、DVDにHDを記録する「AVCHD」規格をスタートさせた。
ビデオカメラのHD化は期待されているものの、いつまでもテープ記録ではないだろうということ、Blu-rayドライブを小型・低価格化してカメラに積むのはまだ時間がかかるといったことが、その背景にあった。コーデックがMPEG4なことや、ファイルストラクチャ構造などはBlu-rayと同じなど、Blu-rayの技術を転用したことで、すばやい展開が可能だった。
同年にはDVD型、HDD型、メモリカード型のビデオカメラが2社から出揃った。その陰でシャープは、DVの「液晶ビューカム」を出していたが、今後の展開が望めないとして2006年に生産終了、ビデオカメラから撤退している。
2007年はさまざまな思惑が入り乱れた。
キヤノンはAVCHDに賛同。ビクターや三洋はこのフォーマットには乗らず、シンプルにMPEG2やMPEG4でHD記録する方法を選んだ。日立は2007年に世界初の8cm Blu-ray記録のBDCAM「DZ-BD7H」を登場させた。一方東芝はHDD記録の「GSC-A100F」でHD化を果たしたが、ファイルストラクチャがHD DVD互換という、「Blu-ray vs. HD-DVD戦争」に巻き込まれた格好になった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
2
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
3
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
4
Apple、「iPad mini」を大幅刷新 8.5インチOLEDとA20 Pro搭載、防水にも対応 11万9800円から
-
5
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
6
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
7
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
8
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
9
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
10
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR