“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
BIOSからUEFIへ BIOSはなぜ終わらなければならなかったのか(2/4 ページ)
1MBメモリ制限
ただこれ、BIOSを作る側のベンダーにとっても苦行であった。もう二昔前のゲーム作成と同じで、BIOSコードの容量をBytes単位で計算しながらロジックを組み込む必要があり、当然高級言語なんぞ使ってプログラミングできるはずもなく、フルアセンブラでの実装となる。あるメーカーが(BIOSメーカーからライセンスを受けたうえで)自分でカスタマイズしたいと思っても、それが可能なスキルを持ったエンジニアはBIOSメーカーにしかいない(だからカスタマイズも頼むしかない)という状況が長らく続いていた。
その一方でBIOSに求められる機能はどんどん増えており、使い勝手の向上と併せて要求がますます厳しくなっており、そろそろBIOSそのものの構造を考え直す必要が出て来た。
似た話が、PC以外のマーケットでも発生した。以前、PReP/CHRPの話を紹介したが、PowerPCベースの“PC”を作るにあたっては、システムの初期化やOSのロード、必要なら設定のカスタマイズなどを行うための仕組みが必要であり、PReP/CHRPはこれをOpen Firmwareを利用することで解決したが、この1994年~1997年というタイムフレームで、Intelはもう一つ厄介な案件を抱えていた。要するにItaniumだ。
Itanium初代(Merced)は最終的に商品とせず開発用プラットフォームとして2001年にリリースされるが、CPUの完成を待ってからシステムを作り始めたら遅くなりすぎるので、CPUの設計と並行してシステムの構築にも当然取り掛かることになる。ItaniumではUNIX(HP-UX)以外にWindowsやLinux、のちにはこれに加えてVMSやACOSなど全く異なるOSも稼働することになっており、そのために「複数のOSをブートできる汎用の仕組み」が必要になった。
これに向けてIntelとHPが開発していたのがEFI(Extensible Firmware Interface)である。「なんでHPが?」というと、そもそもItaniumがIntelとHPの共同開発のCPUだからという話である。
Itaniumの場合、そもそもReal Modeもへったくれもないし、システムの構造がIBM PCやAT互換機と全く異なる。そこでBIOSの代わりになるものとして開発されたのがEFIである。
写真2は2002年春のIDFにおけるスライドである。
まだこの時点ではUEFIではなくEFIであるが、それでも単にItaniumに向けてのBIOS(というか、初期化ロジック)だけでなく、将来的にはPCにも対応させることを目的としていることが読み取れるかと思う。
このPCも念頭に置いている、という話はこちらのコンセプト図(写真3)からも読み取れる。
Itaniumの場合、基本的にLegacy OSが存在しない(x86モードを持つという話ではあったが、別にx86ベースのOSがそのまま動くという話ではない)から、PCなどへの応用を考えなければそもそもLegacy OS LOADERなんてものが入り込む余地がないためだ。この時点でEFIは、もし存在すればBIOSの上に載る形で実装される予定であった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
RISCの歴史、Apple Siliconの歩みを語ってきた大原雄介さんのコンピュータ歴史連載、テーマはズバリ「PC」だ。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
3
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
9
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
10
松本デジタル相、24.6万件漏えい可能性について説明 「既知の脆弱性を対応前に悪用」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR