Macintosh互換機ビジネスも、1994年〜1997年にかけて急速に盛り上がった。昔の記事を探したらこれだけが出て来たが、この辺りは編集担当の松尾さんがもう少し詳細な記事をご存じかもしれない(編集注:記事があったので下にキャプチャを載せておきます)。
これに取り組んだメーカーと商品名を、表1に挙げておく。
広義には、バンダイのPippinも互換機に入るかと思う。こうした互換機ビジネス路線は、Apple Computerにスティーブ・ジョブズ氏が戻るやいなや戦略が転換され、その息の根が止められたのはご存じの通りであるが、そちらはこの記事とは関係ないので割愛する。ただこのMacintosh互換機の急速な盛り上がりは「きちんと仕様を決めさえすれば、x86でなくてもPCを構築できる」ことを示した点で大きな影響があったと筆者は考える。
加えて言えば、「どういう仕組みとハードウェア、インタフェースを定めればPCが作れるか」は、他のアーキテクチャのプロセッサにも影響を及ぼした。Windows NTがx86とPowerPCだけでなく、DECのAlphaとかMIPSもサポートできたのは、逆にこれらのCPUでもPReP/CHRPと同じような仕組みとハードウェア、インタフェースを提供したことが大きい。
もう1つ挙げておけば、PReP/CHRPにおいて、ファームウェアの実装はOpen Firmware(当初はOpenBootと呼ばれていた)を利用していた。もともとはSunがSPARCstationを開発した時に実装されたもので、その後IEEEで標準化がなされている。
余談だが、まだライター業を始める以前に仕事でSBusのボードのドライバを書くにあたり、ファームウェアをどう扱うかを調べたらForth言語で記述されていて、軽く絶望した記憶がある(筆者は逆ポーランド記法が苦手)。
まあそれはともかくとして、このOpen FirmwareはCPUアーキテクチャに依存しておらず、さまざまなアーキテクチャで広く利用されていた。このOpen Firmwareの普及はEFI(Extensible Firmware Interface)の構成にもそれなりに影響を及ぼした。EFIはIntelとHPの共同開発によるFirmwareのI/Fで、当初はItanium向けに開発されたものだ(当初はIntel Boot Initiativeとか呼ばれており、これもIALの成果の1つである)。EFIは幸いにもForth言語で記述されたりはしていないが、提供されている機能を見ると少なからずOpen Firmwareの影響を受けたというか、Open Firmwareと同等以上の機能を提供しようとした努力が見え隠れしている。
PReP/CHRPはPCそのものに何か直接的な影響を与えた訳ではない。ただ間接的に、PCというものの在り方を規定する方法論にはそれなりの影響を与えたと筆者は考えている。
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