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» 2020年12月16日 13時50分 公開

CloseBox:ジョブズが本当にAppleのCEOにしたかった「IBM PCの父」に見る、IT業界の分岐点 (1/3)

大原雄介さんの連載「“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る」2回目のサイドストーリー的なものを書いた。

[松尾公也,ITmedia]

 大原雄介さんの連載「“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る」の2回目が掲載された。

 いよいよIBM PCの登場である。当然ながら、IBM PCの生みの親であり、IBMのPCビジネスを率いることになったドン・エストリッジが出てくる。そこで、5年前、個人ブログに書いた、エストリッジに絡んだエピソードをリライトしたので、サイドストーリー的に読んでいただければと思う。

 そう、「ジョブズが本当にAppleのCEOにしたかった人物」というのはthe Dirty Dozenを率いてIBM PCを短期間で作り上げた「IBM PCの父」、ドン・エストリッジのことだ。スティーブ・ジョブズはAppleのCEOとしてエストリッジの起用を考えていたのである。

photo ドン・エストリッジがAppleのCEOになっていたらどのような現在になっていただろう

 1983年、IBM PCの生みの親であるフィリップ・ドン・エストリッジはスティーブ・ジョブズからAppleの社長になるよう要請されていた。エストリッジに断られたのでジョン・スカリーに白羽の矢が立った。

 ITmedia NEWSが2004年に掲載した、IBMがPC撤退を発表した後に書かれたセンチメンタルなコラム記事には、こうある。

ある伝記によれば、彼は1983年に、Appleが数百万ドルの報酬を提示して社長になってほしいと頼んだのを断ったという

 ここで言及されている伝記とは、著名なITジャーナリストであるロバート・クリンジリーの著書「Accidental Empires」のことだろう。

 本書はアスキーから翻訳版が出されており、その時のタイトルは「コンピュータ帝国の興亡―覇者たちの神話と内幕」だった。ただし、現在は絶版となっている。古本なら入手可能だ。

 この本をもとにしたドキュメンタリー「Triumph of the Nerds」も作られている。ジョブズ、スティーブ・ウォズニアック、ビル・ゲイツ、ポール・アレンといったパーソナルコンピュータの黎明期を築いた巨人たちのインタビューも含まれている、極めて貴重なものだ。このジョブズのインタビューが後に見つかり、それが「スティーブ・ジョブズ 1995〜失われたインタビュー」として映画化もされている。

 第1部はAppleの快進撃、そして第2部はIBM PCの勃興とクローン大戦。ただし、エストリッジは早世したためか、映像としては登場しないのが残念だ。なお、このビデオは日本には入ってきておらず、見る手段はないのだが、トランスクリプトはあるので、それだけでも読むとなかなか面白い。

photo 日本では視聴できないTriumph of the Nerds
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