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ジョブズが本当にAppleのCEOにしたかった「IBM PCの父」に見る、IT業界の分岐点CloseBox(3/3 ページ)

» 2020年12月16日 13時50分 公開
[松尾公也ITmedia]
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 マークラが「ソフトウェアはそのうち無料になる」という、ある意味正しい予言をすると、ゲイツが嫌そうな顔をするとか、いろいろ面白い。

photo 神経質そうに手を組み替えながら話す若きビル・ゲイツ

 このパネルディスカッションは他のメンバーも豪華だ。彼らの発言も収録されているので、今は亡きそれぞれの会社の行く末を思い起こしながら彼らの「予言」を聞くのもまた一興だ。

  • H・E・ジェームズ・フィンケ:Commodore InternationalのCEO
  • ジョン・シャーリー:Radio ShackのPersonal Computer Divisionジェネラルマネジャー
  • ピーター・ローゼンサル:Atari Personal Computer Divisionプレジデント
  • ナイジェル・セアール:Sinclair Researchの北米トップ

 Radio Shackのジョン・シャーリーは後にMicrosoftの社長となり、同社の躍進を支えた人物だ。

 エストリッジにAppleの社長にならないかという提案をして、蹴られたのと同じ1983年、ジョブズはもう1つの重要な提案をし、そちらは成功させている。

1983年、Appleのスティーブ・ジョブズが、Macintosh用のレーザープリンタであるApple LaserWriterを動かすプロジェクトへの参加を提案してきた。Adobeはこの提案に乗った。Appleは気前がよく、100万ドルの前払い金に加えて250万ドルを現金でAdobeに支払った(IT業界の開拓者たち:アドビの創立者

 Adobeは37年経っても、相変わらずAppleともMicrosoftともうまくやっている。

 そして、AppleもMicrosoftもIntelに替わる次の心臓部として、Armを選んでいるというところ、Adobeがいち早くそれに対応しているのも非常に興味深い。

 それぞれの分岐点で正しい判断をした会社だけが生き残る。そんなサバイバルゲームが1970年代から行われてきて、その結果を今、われわれが目撃しているのだ。

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