分かりにくいけれど面白いモノたち
ミラーレス+ズームとiPadが入る縦型バッグ ライターが考えた「ノートバッグ」はどう仕上がっていったか(3/5 ページ)
アイデアスケッチからファーストサンプルまで
これでアイデアは全部入れている。内装には上部に隠しポケット、内部に水筒や折り畳み傘が差し込めるループ、マチのあるオープンポケットとペン差し、ケースに入れたiPadが入るクッションポケットを注文した。
コストなどは、この時点では何も考えていないし、アイデアなんてサイズと開口部の構造とマチを柔らかい革、表を固い革で作るということだけ。後は欲しいと思った機能を羅列してみただけで、案の定、上がってきたサンプルを見たら、付け足した機能は、ほとんど不要だということに気がついた。
隠しポケットは普通に前面にファスナーポケットを付けた方がデザイン的にも容量的にも良いし、ペットボトル用ループなんて、モノの出し入れ時に邪魔になるばかりで、使用範囲も狭い。マチがあるおかげで、ペットボトルは入れれば勝手に自分で立ってくれる。
素人が考える「あったらいいな」は、実際に使ってみると、要らないというより、むしろ邪魔だとすぐに分かる程度のものなのだった。
そこまで分かったら、後は、何を大事にするかという点に絞られる。結局、私が重要視しているのはサイズであり、コンパクトにスマートに見えることだった。ついでに自立するといいな、とも考えたが、そこは縫製の方法など専門家に任せるべき部分だろう。そうして、何度もサンプルを作ってもらっては、細部を修正するという作業が続く。
実を言えばセカンドサンプルの段階で、ほぼ出来上がっていた。サンプルは試用して改善点を打ち合わせした後、メーカーに返送。次のサンプルを待つという手順になる。メーカーは大阪にあり、私は東京にいるので、リモートでの打ち合わせは、中々もどかしいものがあったが、それ以上に、サンプルを返送するのが辛かった。自分が使いたいように作ったバッグだけあって、多少の問題はあっても、他のバッグよりも全然使いやすいのだ。
もう、これで完成でも良いかな? と何度も思いながら、「ここ、あと5mm伸ばしてください」とか、「ここのポケットのサイズをもう少し広げてください」「ファスナーの位置を少し下に」とか、自分でもどうかと思う細かい部分の修正を依頼したのは、このバッグの使い勝手を決めるのが、そういうサイズや配置だったから。製作段階で出来上がりが地味になることは見えているのだった。
面白いのは、サンプルの試用中に見つかるのが改良点だけではなく、思わぬ便利さや、想定していなかった使い勝手に気がつくこと。実際、打ち合わせ中、「これ、横型にした方がよいかも?」とか「いっそトートにしちゃいますか?」など、当初のアイデアを台無しにするような話はいくつも出てきたし、怖いことに、それがメーカーからではなく私からだったりもするのだ。
結局、完成に近づけるという作業は、あり得たかもしれない可能性をどんどん切り捨てていく作業で、だから、完成に近づくほどに、不安は大きくなるのだった。しかし、サンプル試用中に考えついた、ショルダーストラップを思いっきり短くして、トートバッグのように脇の下にさげる持ち方は、とても良いどころか、このバッグの基本的な使い方にしたいと思えるほどだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
分かりにくいけれど面白いモノたち
ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR