プラマイデジタル
コミュ力の高い対話型AIは人間との関係をどのように築くのか?(2/2 ページ)
成長する対話型AI市場
それはさておき、対話型AIの市場は成長し続けており、グローバルインフォメーションが発表した調査によると、世界の対話型AI市場の規模は2021年から2027年に16.8%成長し、184億ドルに達すると予測されている。チャットボットの開発が容易になり、コールセンターなど顧客サービスとして需要が増えていることが理由に挙げられているが、AIの精度が向上して自然な対話ができるようになれば信頼性が高まり、さらに活用されるようになるだろうとしている。
今後、AIの研究開発は人に信頼され、共感されることがポイントになりそうだ。6月に京都で開催された人工知能学会全国大会(JSAI 2022)では、「エージェント」「ヒューマンインタフェース」というカテゴリの一般セッションをはじめ、オーガナイズドセッションでは「人間と共生する対話知能」「信頼されるAIのためのインタラクションデザイン」「人間とAIの共存のあるべき姿を考える」といったタイトルが並ぶ。
AIとの信頼関係については、人とAIのほど良い関係のあり方を研究する国立情報学研究所の山田誠二教授が、人間がAIの性能を適正に評価することで最適な信頼を構築する適応的信頼較正理論を提案している。また、日立総合計画研究所からはAIが社会に受け入れられるために進められているTrustworthy AIの研究を紹介している。
一方でソーシャル・ロボットなどを研究する筑波大学の田中文英准教授は、言語を使わず人に気持ちを開いてもらう仲介者となるエージェントとして「OMOY」というロボットを開発しているが、現時点では言葉を話すAIよりもノンバーバルでリアクションするAIの方が、人は感情移入して意識を持っていると思わされるかもしれない。
そして、日本人の気持ちを理解して日本語で話す対話型AIを開発するには、教師データを集めることが必用になる。京都芸術大学は若者の恋愛相談にのってくれるチャットボットの対話セットを開発する教師データを収集する方法として、推しキャラを仲介役とすることでよりスムーズに本音を引き出すことができたと発表している。
前述した「OMOY」も仲介するのが人間でないことが、むしろスムーズなコミュニケーションを生み出すとしているが、もし将来的にAIが意識を持つようになるとそうした考え方にどのような影響を与えるようになるのか、気になるところだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
プラマイデジタル
注目されるデジタルテクノロジーをプラスとマイマスの両方から考察する、ジャーナリストの野々下裕子さんによる連載コラム。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
陸自が「イオンモール熊本」内部をドローン撮影 防衛省が映像公開
-
3
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
4
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
8
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
9
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
10
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR