小寺信良のIT大作戦
給食費無料の“条件”にする自治体も──マイナンバーカード、インセンティブの考え方が間違ってない?(2/3 ページ)
手段を選ばなくなった地方も……
ある意味ほっといても2024年秋にはだいたいの人が持つようになるわけだが、地方によってはそれを待たず、次第に強引な手法で普及に舵を切るところも出てきた。
岡山県備前市では、22年度から給食費や学用品費の一部を無償化したが、23年度からは「児童・生徒およびその世帯員の全員がマイナンバーカードを取得している場合」という条件を付けた。保育園の保育料や農業漁業の資材価格高騰のための補助金も同様だという。東京新聞が報じた。
本来なら無条件で受けられた支援も、カードを持っていないというだけで剥ぎ取られる。「公平」が大原則の教育や行政サービスに対して、たかだかカードの有無で差別されるのは、問題が大きい。人権問題にもなり得る施策だが、関連中央省庁はその是非について明言を避けている。
今さら地方自治体がマイナンバーカードの普及に血眼になるのは、財務相と総務相が22年12月の閣僚折衝で、カード交付率を地方交付税の算定に反映させることで合意したからである。地方交付税とは、地方税の歳入の均等化を図るため、所得税や酒税など国が集める税金のうちから、地方自治体へ再配分する仕組みだ。つまりカード交付率が高ければ、国からもらえる地方交付税が増すというわけである。
「交付率が上がるほど、自治体のデジタル関連サービスを提供する経費が増えるはず」という理屈だが、そもそも経費削減のためにデジタル化しているわけであって、こんなのは「そういうことにできる」という後付けの理屈だ。実際には「普及させたご褒美」である。
カネ、カネ、カネ。こうした算定方法からすでに公平性が欠落しており、それが地方行政にも反映され、地域住民が泣かされるという図式である。
岡山県のサイトを見ると、カード交付状況は備前市が高梁市を小差で破って1位。どうしても1位を死守したいのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
2
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
3
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
4
LINEヤフーグループ、自己都合退職急増 前年度比65%増の2791人
-
5
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
6
幻の「ちいかわ」コラボ第3弾皿、捨てちゃうの? くら寿司に聞いてみた
-
7
バスローブ姿で取材対応の秋田県職員 ラブホ不倫現場からリモート対応だった 県が処分
-
8
「ランジェリーパープルじゃない」「買おうと思ってたのに」 iPhone 18 Pro/Pro Maxの色に落胆の声
-
9
AnthropicのアモデイCEO、AI開発の「ペース調整」訴えるエッセイ公開 アルトマン氏とマスク氏も賛同
-
10
「iPhone 18」シリーズ徹底比較 「17」シリーズとの違いをチェック
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR