分かりにくいけれど面白いモノたち
トンボ鉛筆のデザインペン「ZOOM」が復活 迷走の末に辿り着いた“1本の美学”とは?(5/8 ページ)
「最初は、とにかくキレイな形を描いてみようというところから始めました。そこに抜け感を入れたかったので、軸のカットとか、主観的輪郭線のような見え方とか、そういうのができないかと考えている過程で、ノックボタンのところを切ったような形を思いつきました。色々考えて、クリップを連絡経路に使えば、ノックボタンが浮いているようなデザインにできるというのを思いついた後は、比較的早くデザインは進みました」(国府田氏)
しかし、ノックボタンが軸とつながっていなくて、浮いているように見えるというアイデアと構造ができたところで、どういう造形で浮くと綺麗に見えるかという問題は残る。前例のない形だけに、参考資料もない。「実際に参考にしたのは、照明機器とかオーディオ機器でした。B&O(BANG&OLUFSEN)の製品とか、ヤマギワの製品などを参考にしながら作っていったんです」(国府田氏)。
ノックボタンが円すいの上部を切ったような形になっていて、押すと軸の上部にある穴に入って芯が出て、ボタンから手を放すと、また浮いた場所に戻るという仕掛けは、実際に使ってみると、かなり楽しい。仕掛け自体はシンプルなものだが、それだけに動作は安定していて実用上の問題もない。
一見シンプルに見えながら、実際にはものすごく複雑なことをやっていて、それを感じさせないというのは、ある意味とても日本的といえるような気がする。理論よりも感覚で形を決定していくこと、指や目が感じる微妙な違いを見逃さないこと、デザインと絵画の間を行き来するような作業、それをインハウスのデザイナーが行っていること。そういう諸々が集まって出来たというのは、日本のプロダクトらしいと思うのだ。外部のデザイナーを多用するラミーとの相違点でもある。
かつての人気シリーズを思わせる水性ボールペン「L1」
「ZOOM L1」は、今までのZOOMのイメージに最も近いといえるだろう。
ZOOMの人気シリーズだった「ZOOM 505」を思わせる、太軸キャップ式の水性ボールペンだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
分かりにくいけれど面白いモノたち
ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
7
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
8
熊本「通れた道」マップ、トヨタが公開 ホンダも「通行実績情報マップ」
-
9
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
10
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR