SFプロトタイピングに取り組む方法

未来を考える“SF思考” 初心者こそやってほしいワケ 「意思決定者を度外視」がポイントに?(2/3 ページ)

SF初心者だから抵抗がある? いやいや「知らないからいいんだよ」

石原 先ほど「SFの力を誰も理解していない」という話がありましたが、それは僕が取り組んでいる、アート思考のプロジェクトにもいえると思います。アートを誰も理解していない。でも、よく分からない人がやることに意味があるということがすごく大事です。

 「SF初心者だから抵抗がある」「SFを知らないのに、『SFプロトタイピングをやりました』なんていってもいいのかな」という抵抗感はきっとあると思います。しかし、アマチュアだからこそ発想できる未来観はあります。例えば、芸能人に対してアマチュアのインフルエンサーが現れ、アマチュアにしかできないことをする。知らないからこそできる“ヘタウマ”のアウトプットというのは必ずあるわけです。「知らないからやってはいけない」みたいな感覚からは脱却してほしいと思います。「知らないからいいんだよ」と言いたいです。

photo アーティストの石原さん

石原航

アーティスト/ハッカー/imkp Lab. CSO

慶應義塾大学総合政策学部卒業、同学政策・メディア研究科博士課程を単位取得満期退学。「ありえるかもしれないインターネット」をテーマにさまざまな作品やシステムを制作・開発しながら、新しいアバター観やデジタルコミュニティーの可能性を思索・研究中。

総務省認定異能β(総務省公認のへんなひと)保持者。芸術や文化の祭典「Ars Electronica」の「 2019 Future Innovator」に選出。公益財団法人のクマ財団奨学クリエイター4~5期生採択。

主な受賞歴に「WIRED Creative Hack Award 2021」準グランプリ、同賞 2018 特別賞、「Campus Genius Contest 2019」審査員特別賞など。

大橋 それはよく分かります。SFが好きな人は「それって〇〇だよね」で片付けるところがあります。「それって鉄腕アトムだよね」「ガンダムだよね」と。それで共通認識できて便利なところはありますが、思考がそこで終わってしまう。

石原 「お前のやっていることは、既存のモノの再発明だよ」と言い出すと、そこで思考がストップしてしまいます。同じモノであろうと、未来がどうなるかを頭の中で組み上げる。その過程で全然違う未来ができることも、きっとあるはずです。むしろ、いろいろな未来観を知っている人が先入観で見落としてしまう道筋を見つけることができると思います。

丸山 「SF」という言葉に負けない環境を作ることも大事だと思っています。SFと聞くと、どうしても科学的なことを想起しますよね。それこそガンダムとか、すでにあるものを想起してしまう。それはSFプロトタイピングの本質からずれてしまっています。もしかしたら、SFよりももっと適切なワードが必要なのではないかと個人的には感じています。言葉から変えていく取り組みは必要があるかなと。

大橋 ただ、SFという言葉は便利で、企業が社員に「SFプロトタイピングをやるよ」と公募すると、SFの言葉に引っかかる人が多いんです。「SFって何?」「SFで何するの?」と。もちろん、引っ掛からない人は引っ掛からないけど、引っ掛かった人はめっちゃ引っ掛かる。「これは参加しないともったいないと思って参加した」という話も聞きます。

 一方で、SFプロトタイピングはSFを用いてビジョンを作ろうというもので、ビジョンを作るのは、SFに限るわけではないとは思います。

丸山 ビジョンを作る方法には、SFプロトタイピング以外にもアート思考やクリティカルシンキング、デザイン思考、トランジションデザイン、システム思考といろいろあります。「何をアウトプットしたいのか」を明確にした上で、どの方法で取り組むかをチョイスするのが良いと思います。

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SFの力をビジネスに生かす「SFプロトタイピング」という手法があります。現実を取り払って“未来のイノベーション”を生み出す可能性を秘めたこの取り組みについて、実際にSFプロトタイピングを実践している筆者が紹介します。

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この記事の著者

大橋博之
大橋博之

SFプロトタイパー 大橋博之 インタビューライターとして企業などの情報発信を支援しつつ、SFプロトタイパーとして企業などにSFプロトタイピングを提供している。 徳間書店の雑誌「アニメージュ」の特派記者としてキャリアをスタート。NECの関連会社で、PR・販促とWeb制作に従事。Webメディアの編集プロダクションを経て、現在はインタビュー記事を中心に執筆している。 著書に「SF挿絵画家の時代」(本の雑誌社)/「心の流浪 挿絵画家・樺島勝一」(弦書房)、編集・執筆に「少年少女昭和SF美術館」(平凡社)/「日本万国博覧会 パビリオン制服図鑑」(河出書房新社)/「大阪万博」(小学館)などがある。 https://garamon.jp.org/

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