「王様戦隊キングオージャー」終幕 “無謀だった”という制作の舞台裏、上堀内監督に聞いた(5/5 ページ)
「陳腐だったんだな……」と気付かされたというカメラワーク
ボリュメトリックキャプチャーは、「ロボ戦」の演出にも影響を与えた。それが、焦点距離にして6mmや9mm相当の超広角カットをふんだんに使用できたことだ。
「意外と自分の脳内で考えているカメラワークって陳腐なんだなっていうのを突きつけられたんです」「現場にある撮影レンズも11mmが最大ワイド。(ボリュメトリックキャプチャーなら)6mmとかも使っちゃうんですが、それってロケーションとか普通の撮影をやっていたらあまり出てこない発想で、最初のころのダンス動画ってそんなに広角がないんです」(上堀内氏)
「多分そこに発想が至ってなかったんです。ロボ戦で9mmを選んだのも、ワイドを無理やり見せたいのではなく、足元にグっと入ってツーショットで見せたいから」「リアルだとあの広角って作れなくて。単純に超アオリで2人を入れたい時に、それが可能になる世界を知れたんです」(同氏)
日本でどう根付かせていくか
このように、映像表現の幅を広げるだけでなく、撮影に掛かるコストでもメリットがあるバーチャルプロダクションだが、日本でも浸透していくのだろうか。
上堀内氏は「日本のドラマ、映画を作る人間がまだ怖がっているというか、踏み入れたら大変そうだなと思っている方が多いと思う」と分析する。
「バーチャルプロダクションは特撮やハリウッド、例えばマーベルなどが使うものという考え方は、強い言葉だがもう遅い」「いつも苦労してるでしょ? 空港のシーンを撮るの。だったらバーチャルプロダクションで撮ったらどう? というのが当たり前になる業界を早く見たい」(上堀内氏)
「こういうシチュエーションが欲しい、という時にバーチャルプロダクションという手段を持っているか、持っていないかの差は大きい。それを理解する方からどんどん演出なり、撮影の視野が広がってくると思っている」と見解を示す。
長年戦隊シリーズに携わってきた大森氏も、「(戦隊シリーズは)47作品目、48年間続いている作品として、シリーズを継続していく手段として大きな武器を得たと思っている」「スーパー戦隊シリーズのスタッフが一番(バーチャルプロダクション)のノウハウがある状況になっている。このノウハウを出しながらどんどん成長していくべきなんじゃないかと思う」と語る。
「1話まるまるバーチャルプロダクション」を実現したことで、無事“テークオフ”を果たした上堀内氏。バーチャルプロダクションとボリュメトリックキャプチャーという新しい武器で、今度はどのような映像表現をわれわれに見せてくれるのだろうか。
©テレビ朝日・東映AG・東映
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR