「自社が買収され働き方激変」は突然やってくる──そのとき、SIer・SES・IT部門はどう変わるのか(3/4 ページ)
働き方──評価制度と給与制度は“最ももめる”
そしてどの場合においても、最もセンシティブになるのが評価と報酬です。
特にスタートアップの買収では、子会社側の給与が親会社より高い、評価が緩やかで昇給しやすいといった現象が起きがちです。この状態で制度統合が進めば、どちらの従業員も不満を持つ格好になります。
さらに厄介なのは、そもそも評価制度が存在しないケース。短期的な成長を優先してきた企業では、評価が経営者の裁量に依存していることもあります。昇給が直談判で決まるといった運用があれば、現場の不満や混乱の種になり、統合後の制度設計において大きな障害となります。
このような組織を制度化する作業は、現場としては「ルールのない状態からルールを作る」ことに近く、相当な摩擦を伴います。過去の評価との整合性をどう取るのか、どのタイミングで制度を適用するのかが、現場の納得感に直結します。
出社ルールが生む対立
勤務形態の違いも、統合後の大きな論点です。
例えば親会社が出社前提で、子会社がフルリモートというケースは特に対立が生まれやすくなります。リモート前提で採用してきた企業では、社員が地方に分散していることも多く、そもそも出社が現実的でない場合もあるでしょう。
M&Aの主目的が人員の確保だった場合は、リモートを維持する合理性があります。一方で、組織の統制や効率化が目的であれば、出社を強化する方向に動くこともあります。
中には、出社状況を評価に組み込むことで、間接的に人員を選別するケースも見られます。これは明示的なリストラではありませんが、実質的には同様の効果を持ちます。
ワークフロー統合が生む「見えないストレス」
業務プロセスの違いも、統合後の現場で顕在化しやすい部分です。
親会社のルールに統一する場合、不満は出るものの意思決定は比較的シンプルです。しかし、対等な統合を志向した場合、どちらのやり方を採用するかという議論が発生し、その調整コストは想像以上に大きくなります。
結果として、より複雑なワークフローが採用されることがあります。これは一見すると公平な判断に見えますが、実務では意思決定の遅延を招きます。スピードを重視していた組織にとっては致命的な変化となり、退職者が増える要因にもなります。
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