小寺信良のIT大作戦
「今からロボットを現場投入できないか?」 増えた日本企業からの問い合わせ “頭脳”を作る韓国企業が感じた国内の変化(1/4 ページ)
現在、一般的にAIといえば、LLM(大規模言語モデル)のことを指す。次いで多くの人がイメージするのが、プロンプトにより画像や動画、音楽などを出力する生成AIだろう(なおLLMも文章を生成する生成AIの仲間)。現在先行するのは米国、中国といった大国であり、他国は出遅れている。
一方でロボティクスの世界に目を向けると、ヒューマノイド型ロボットというハードウェアは中国が世界をリードする一方で、その中身であるロボット向け人工知能は、まだどこがリーダーであるのかは確定しておらず、日本にも芽があるといわれている。
日本にも拠点を置くRLWRLD(リアルワールド)は、そうしたフィジカルAI分野で注目を集める国際企業だ。2024年に韓国で起業したのち、翌年日本にも拠点を設置、今年2月に米国本社を立ち上げた。研究開発は韓国、資金調達は米国、顧客開拓は日本という住み分けである。
同社は8月17日に日本法人において記者説明会を開催、日本代表の李勲(イ・フン)氏がフィジカルAI技術の概要、同社の事業内容、最近の事業動向を紹介した。
なぜ日本なのか
リアルワールドが日本市場に注目する理由として、日本には製造業が多く産業用ロボットの導入もかなり進んでいること、それらのデータが潤沢にあること、加えて人手不足が深刻で喫緊の課題となっていることが挙げられる。つまり需要が大きいと見込んでいるわけだ。実際日本企業からも投資を受けており、KDDI、ANAホールディングス、三井化学、島津製作所などの大手企業が名を連ねている。
リアルワールドが開発するのは、ロボットを動かすための基盤AIモデルだ。今年5月に独自基盤モデル「RLDX-1」を正式に公開した。ハードウェアは自社で開発せず、パートナー企業のものを利用する形態を取っている。
フィジカルAIの基盤モデル分野には、学習データ、ロボット、環境を共通化し、純粋にモデル性能のみを比較する公開ベンチマークが複数存在する。同社によると、それらにおいて北京大学のX-VLAやPhysical Intelligenceのπ0などのモデルを上回り、トップになったという。
ポイントは、モデルを公開していることである。これにより、アカデミアや企業から具体的な評価を受けることができ、その結果、VLAベンチマークでトップ評価を得ることができたという。ただし同社のモデルも現時点で完璧ではなく、今後も多様なデータを収集し、顧客ごとの専用モデルを作って性能を上げる必要があるとした。
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小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
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