小寺信良のIT大作戦

「今からロボットを現場投入できないか?」 増えた日本企業からの問い合わせ “頭脳”を作る韓国企業が感じた国内の変化(4/4 ページ)

 もう1つ興味深かったのが、AIモデルの実行環境だ。現時点で費用対効果が高いのは、ロボット本体近くのGPUやCPUで動作させるエッジ推論だという。なぜならば、フィジカルAIでは学習に動画だけでなく、関節、センサー、アクチュエータのデータを扱うため、学習時には高性能のGPUが必要である一方、実際に動作を行う推論は、比較的ロースペック・低価格のGPUで実行できるためだ。

 ただ将来的に、100〜200台など、大規模な台数のロボットが1カ所で動作するようになれば、データセンター側で一括して推論し、送信する方式が有利になる可能性もあるという。安いGPUを数百個用意するより、高性能のGPU数個のほうが安上がりだというわけだ。

 フィジカルAIは現在、LLMの3年前に相当する段階にあるといわれている。思い返してみれば、ChatGPTが公開されたのが22年11月で、公開から2カ月後の23年1月には月間利用者が1億人を突破したとされる。同年5月にはスマートフォン用アプリが公開され、11月には週間利用者数が1億人を突破した。

 つまり3年間にLLMは、一部の研究者が使うものから誰でも使って成果が得られるものになった。一方フィジカルAIは、ロボットというハードウェアを伴うため、LLMほど一般化は早くないだろう。だが一部の研究者が使うものから、あるところにはある、動いているのを見かけるという時代に差しかかっているのかもしれない。現在ファミレスに行けば、品物を届けるロボットを見かけることも珍しくない。あのレベルでVLA基盤ロボットを見かけることになるかもしれないのだ。

 特に製造・物流・サービスの現場では、28年ごろにはもう隣にロボットがいる可能性が高い。このムーブメントは、それぐらいのスピードで動いていると捉えておくべきだろう。

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ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。

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