Anthropic、企業向け「Enterprise Frontier Safeguards」発表 ログは顧客のクラウドに保存し、人手による確認も顧客側で

 米Anthropicは9月1日(現地時間)、企業顧客向けの新しい仕組み「Enterprise Frontier Safeguards」(EFS)を発表した。ゼロデータ保持(ZDR)と同等のプライバシーを保ちながら、不正利用の検知を継続できるとしている。今秋から段階的に提供を始め、秋のうちに広く利用可能にすることを目指す。同社は同日、フロンティアモデル「Claude Fable 5.1」「Claude Mythos 5.1」も発表している。

30日間のデータ保持が背景に

 同社はFable 5から30日間のデータ保持ポリシーを導入していた。高度な不正利用は複数のセッションやアカウントにまたがって行われるため、各やり取りを個別に解析してすぐ破棄するだけでは検知が不十分で、時間とアカウントをまたいで相関を取るには一定期間データを保存する必要があるというのが理由だ。同社は「このポリシーは、企業データで学習したいという動機によるものではない」とし、明示的な許可なく企業データを学習に使ったことはないと改めて説明している。

 一方で、特に規制業種の企業からはデータ保持のあるモデルを使いにくいという声が上がっていた。EFSはその折衷案として設計したものという。

顧客のクラウドに保存、フラグも顧客に直接

 EFSでは、監視に使う活動データを顧客自身のクラウドアカウント(Amazon S3、Azure Blob Storage、Google Cloud Storageなど)に、顧客が管理する暗号鍵とアクセスポリシー、監査ログの下で保存する。

 自動監視システムは一定期間分のトラフィックを解析し、攻撃的なサイバー能力や生物学的能力の開発の試み、認証情報の窃取や漏えいの兆候などを検知する。検知されたフラグは顧客に直接送られ、その後の対応は顧客側のチームが行う。Anthropicの従業員による人手のレビューは不要になる。規制業種では、特権的な法務資料や未公開情報、医薬品の安全性報告など、閲覧できる人物が厳格に定められているケースが多く、レビューは自社の担当者が行う必要があるという要望が強かったという。

 顧客の所有ストレージ、顧客管理の暗号鍵、完全自動レビューはそれぞれオプトイン方式で、必要なものだけを有効にできる。いずれもモデルの挙動やAPI料金、レート制限には影響しない。

EFSの仕組み。監視用データは顧客のクラウドに保存され、検知結果は顧客のセキュリティチームに通知される。Anthropicが受け取るのはアラートの分類と深刻度のみ(画像:Anthropic)

料金と対応環境

 EFS自体には課金されないが、顧客が自社クラウドにデータを保存する場合、ストレージや読み書き、データ転送の料金はクラウド事業者から請求される。

 対応するのはClaude Code、Claude Enterprise、Claude Platform、Amazon Bedrock、Claude Platform on AWS、GoogleのAgent Platform、Microsoft Foundry。AWS、Google Cloud、Microsoft Azure経由でも同等の制御が利用できるとしている。EFSの提供が始まるまでの間、対象となる顧客はFable 5とFable 5.1をZDRで利用できる。

 Anthropicは、EFSを100社以上の顧客と共同で設計したとしている。参加企業には、米Bank of Americaなどの米大手銀行のCISOが参加する業界団体ARCのほか、Comcast、KPMG、Mastercard、Salesforce、Visaなどが名を連ねる。

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