NECエレクトロニクス(NECエレ)は、2月3日に半導体生産の後工程にあたる「組み立て検証工程」生産拠点再編計画を発表。それに合わせて山形県にあるNEC高畠工場を台湾の後工程大手専業ベンダー「ASE」に売却することも発表した。
今回発表された再編計画の大きな動きは、山形県にあるNEC山形の高畠工場を台湾の後工程製造専業ベンターであるASEへ売却とNEC関西彦根工場の閉鎖。高畠工場の従業員は一部を除いて、ASEが設立する「ASE Japan」(仮称)に移管、彦根工場の従業員はNEC関西本社のある大津工場へ異動、もしくはNEC福井に転籍することになる。また、彦根工場の跡地は更地にして売却される予定。
NECエレは事業の見直しにあたり、生産しているパッケージを三つのカテゴリーに分類。QFPやSOPなどの成熟パッケージ、デジタル家電需要で生産数量が急速に増加しているBGAなどの汎用パッケージ、携帯電話、デジカメ、LCDパネルなどで使われ、TCPやフリップチップBGAなど高い技術力を必要とする高機能パッケージに分類し、「それぞれの特性や状況に合わせて戦略を立てていく必要がある」(NECエレクトロニクス執行役員 後藤秀人氏)
このうち、クライアントがアジアにシフトしている成熟パッケージについては、「クライアントに対するリードタイムの短縮、要求に対するフレキシビリティを考えると現地生産が適している」(後藤氏)ため、国内拠点からから中国の「首鋼NEC」やマレーシアの「NECセミコンダクターズマレーシア」へ生産をシフトする。
首鋼NECではQFP生産能力を2004年下期までに現在の2.5倍、SOPを同じく3倍に引き上げ、NECセミコンダクターズマレーシアでもシステムLSIの生産能力を2006年までに現在の3倍へ増強する計画になっている。
「成熟パッケージでは人件費もコストにたいして重要な要素になる。現地生産、仕向地生産を拡大することでコストダウンが図られ、通貨リスクも軽減できる」(後藤氏)
現在「海外の後工程専業メーカーが非常に強い」(後藤氏)汎用パッケージ市場で、NECエレの生産量は「専業メーカー大手一社で我々の4倍から5倍も生産している」(後藤氏)状況にある。そのためNECエレは「世界的な投資リスクや為替変動対応力を考慮すると、大手専業メーカーをうまく使うのがベスト」と判断。世界最大手のASEと提携し、汎用パッケージの生産拠点であった高畠工場をASEに売却することになった。
「汎用パッケージは専業ベンダーに委託して安定供給を目指す。NECエレのリソース投資は抑制していく」(後藤氏)
成熟パッケージ、汎用パッケージを整理縮小する代わりにNECエレが注力していくのが高機能パッケージのカテゴリー。「国内のクライアントに向けて今まで以上に強化していく」(後藤氏)。国内に残る後工程3拠点であるNEC福井、NEC山口、NECセミコンダクタ九州(工場は3カ所に分散)のそれぞれで、TCP(NEC福井)とMCP(NEC山口)、FCBGA(NECセミコンダクタ九州)を分担して生産していくことになる。
「高機能パッケージは、チップの研究開発とも連携することでより高性能の製品が作り出せる。この分野にNECエレは積極的に取り組んでいく」(後藤氏)
同社は高機能パッケージの生産にリソースを集中し拡大していくと述べているが、生産施設の増設や投資拡大についての具体的な計画については、「今の段階では説明できない」(後藤氏)と述べるにとどまった。
なお、海外に移転する成熟パッケージについては、短工期や高い信頼性を求める国内クライアント向けに一部のラインを残していくことも明らかにしている。
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