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» 2004年02月20日 17時18分 公開

“プロセッサパワーにおなかいっぱい”の声に回答するゲルシンガー氏 (2/2)

[本田雅一,ITmedia]
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PCアーキテクチャはすべてマルチコアベースに

 “テラ時代”の分かりやすい例として、ゲルシンガー氏は次世代のリアルタイム3Dグラフィックスをデモした。一般的なラスタライズベースの3Dグラフィックスではなく、光源追跡を行うレイトレーシングの手法で、より厳密な3Dグラフィックス映像の合成を行うデモである。

 レイトレース技法で深く光を追跡すれば、質感や写り込みなど、様々な要素を含む物理的なシミュレーションを行えるため、より現実世界に近いグラフィックスを生成可能だ。ただし、これまではパフォーマンスの問題もあり、インタラクティブ性を持つリアルタイムグラフィックの生成には使われてこなかった。

 デモでは、独inTrace社の開発したソフトウェアによるリアルタイムレイトレーシングの技術を用い、自動車のグラフィックスを自動生成することで行われた。レイトレーシングを行うことで、ガラスへの写り込みや、複数の反射物を通して写り込む物体などが正確に、しかもリアルタイムに表現される。

 もちろん、現状では非常にハイパフォーマンスなシステムが必要となる。一般的な用途であれば、デュアルXeonのサーバを4〜5台使ったクラスタで動かすことが可能というが、デモで使われたんはデュアルXeon/2.4GHzのPCを24台つなげた400GFLOPSのクラスタシステムだった。では、単なる夢物語なのか?というと、そうでもない。

photo ラスタライズとレイトレースの違い

 なぜなら、ラスタライズベースのグラフィックスは、モデルの頂点数(ポリゴン数)が増加すると急激にパフォーマンスが下がるが、inTraceのレイトレーシング技術ではポリゴン数が増加しても、速度低下が非常に少ないからだ。また、効率よく並列化が可能なため、プロセッサ数の増加に対してリニアに性能が向上する。

photo レイトレーシングはポリゴン数が増えてもパフォーマンスが落ちにくい

 ゲルシンガー氏によると、今後のIntelプロセッサは単体プロセッサの単一スレッドの速度向上よりも、マルチスレッドでのパフォーマンスアップに力を入れるという。複数のプロセッサコアをひとつにまとめ、シングルチップでマルチプロセッサを、またそれぞれのプロセッサでマルチスレッディングをと、スレッド単位での並列度を向上させる方向だ。こうした、アーキテクチャ構築の方針転換は多くのRMSアプリケーションで有効なものと言える。

 「我々はマルチコアのアーキテクチャを、サーバ用だけでなく、すべてのプロセッサに実装していく」(ゲルシンガー氏)

最適化技術により単一スレッドのパフォーマンスも追求

 こうした話をゲルシンガー氏がする背景には、クロック周波数向上のペースが鈍ってきていることが挙げられる。周波数向上を阻害している最大の要因は熱、即ち消費電力の増加だ。Intelは動作バイアスを動的に変化させることでリーク電流を減少させる新しい技術を発表するなどしているが、クロック周波数向上だけにパフォーマンスアップを求めることに限界があることも認めている。マルチコアアーキテクチャ採用を明言しているのも、その対策の一環と言えるだろう。

 また、そのほかのパフォーマンス向上阻害要因として、プロセッサのオンチップメモリと外部メモリの速度差が広がっていることも指摘している。「現在のPentium 4の場合でも、オンチップとオフチップでは20倍のメモリレイテンシ差がある」(ゲルシンガー氏)。このことを改善するため、プラットフォーム全体を再設計する必要性があるとした。

 マルチコア/マルチスレッディングによる並列化により、プロセッサ資源の稼働率を上げるのはもちろんのこと、Intelはコンパイラの改良によるパフォーマンスアップも提供するという。メモリレイテンシの長い待ち時間に、命令実行を補助するヘルパースレッドを割り当てることで高速化する。データベースアプリケーションのデモでは、キャッシュミスが減り、パフォーマンスが10%改善された。この仕組みはすでにIntelのコンパイラに実装されており、ハードウェアの対応は必要ないという。

 インテルは様々な要素において、テラバイト級のRMSを実現するためにアーキテクチャの改善を進めている。それが実現するとき、PCは次の階段を上ることができるのかもしれない。

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