ITmedia NEWS >

「日本のITは“改善の余地”でいっぱい」――IntelバレットCEO

» 2004年02月23日 21時03分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 IDF Spring 2004を終えたばかりのIntel CEOクレイグ・バレット氏が、2月23日から東京で始まった「世界情報通信サミット2004」のキーノートスピーチに登場。ITによる世界的な変化の流れと、日本のITへの取り組みについて語った。

photo Intel CEOのクレイグ・バレット氏

 「一生に1回見るかというぐらいの、短期間での変革が、今、起こっている。ITによる変革は、国によってそのスピードが違うが、さまざまな産業で経済インフラが変化している。世界第2位の経済大国である日本が、このITの変革で何ができるかが問われている」(バレット氏)

 中国/ロシア/インドなどの経済体制の変化によって、世界人口の半分が資本主義に参加するようになった。当然、競争も激化し、新市場もどんどん創出されている。このような世界規模の変化の中、日本は自らの“市場の強み”を考えなければならないとバレット氏は述べる。

 「日本の強みは、長年培ってきた“製造技術”、携帯電話やノートPCなどに代表される“機器のミニチュア化”、自動車や家電など工業製品における“優れたデザイン”、ADSLやFTTHといった“ブロードバンドの普及”。こういった分野で日本は世界のリーダーシップをとっている」(バレット氏)

 このような日本の強みだけを見ると、一見、世界でのIT変革の一翼を担っているかに思えるが、バレット氏は日本には“別の1面”が存在することも訴える。

 「フランスのあるビジネススクールの調査では、世界第2位の経済大国である日本のIT競争力順位は第12位となっている。この調査では、テクノロジーのインフラがあってもそれが利用しやすい状況にないとランクが下がる。さらに、ユーセージモデル(利用方法)を示すそれぞれの指標の日本での順位は、一般消費者12位、ビジネス10位、政府関連14位という状況。正直いって、このランキングには大きな改善の余地がある」(バレット氏)

photo

 生産性を高めるためには、効果的にITを利用しなければならない。だが、GDPに対するITの投資比率を見ても、日本は100カ国の中で25位と他の先進国と比べて大きく下回っている。さらに、企業におけるPCの普及率を見ても、米国/英国/韓国と比較して、日本はもっともランキングが低い。このように、日本のITへの取り組みにはまだまだ改善の余地があるとバレット氏は強調する。

photo
photo

 「効果的にITを使い、日本の優位性を確立するために、教育/研究開発/インフラストラクチャ/政策方針への注力が重要。過去40年間続いてきたムーアの法則も、あと15〜20年は継続されるなど電子的な機能性はまだまだ上がっていく。ITは世界を変革していき、企業のあり方も変わってくる。このゲームに参加するかしないか、それはわれわれが決めること」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.