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記録型DVDは急伸、HDDも成長――JEITAの情報端末関連機器市場予測

» 2004年03月11日 18時36分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 電子情報技術産業協会(JEITA)は3月11日、2003年(1−12月)の情報端末関連機器(光学ドライブ、HDD、NAS、ディスプレイ、スキャナ、OCR機器)の市場規模と、2006−2007年までの市場予測を発表した。

記録型DVDドライブが316%増 青紫色レーザードライブは2006年以降に成長

 光学ドライブの世界出荷実績(台数ベース)は、前年比14%増の2億2200万台。国内でも同13%増の2006万台と堅調に伸びた。中でも大きく伸びたのは、前年比316%増の記録型DVDドライブと、同67%増のDVD-ROM&CD−R/RWコンボ。DVD-ROM、CD-ROM、CD-R/RWはそれぞれわずかに減った。

 2006年の世界市場規模は、2003年比11%増の2億4770万台を予測。市場自体はそれほど拡大しないが、容量や記録速度の向上した製品が現行製品に取って代わると見ている。特に記録型DVDのシェアは2003年の10%から2006年には31%に上昇、CD-R/RWを上回るとの予測だ。

 青紫色レーザーを採用した次世代ドライブは、同技術を採用した映画ディスクが普及すると見られる2006年以降に需要が伸び始めると見ている。

HDDは堅調な伸び

 HDDの世界出荷実績は2億5327万台で、前年比20%増。このうち国内向けは同19%増の2386万台と順調に伸びた。世界市場では3.5インチタイプがHDD需要全体の81%を占めるが、国内では64%にとどまる。残りは2.5インチ以下の小型HDDで、国内では特にノートPC用の小型HDDの需要が高い。

 2004年以降、3.5インチHDDは年平均7%伸び、2006年までには2億5095万台(国内は1714万台、同4%増)の出荷を見込んでいる。特にデジタル家電やゲーム機、監視カメラ用の需要が高まるとの予測だ。

 2.5インチ以下のタイプは年平均31%増え、2006年には1億120万台に(うち国内は1465万台、同19%増)。携帯音楽プレーヤーやカーナビ、省スペース型PCなどが需要をけん引すると見込んでいる。

 国内ネットワークストレージ(SAN、NAS、DAS)では2003年、出荷容量が前年比で53%増えたものの、容量あたりの単価が下落し、出荷金額は5%減の3227億円だった。

 2004年以降は景気の回復やデータ量の増大から、出荷金額は年平均4%、出荷容量は同73%増えると見ている。

CRTからLCDへのシフト鮮明――ディスプレイ

 ディスプレイはブラウン管(CRT)から液晶(LCD)への移行が加速した。2003年の世界出荷台数(予測値)は、LCDが前年比66%増の5045万台を見込む一方、CRTは同14%減の6728万台。デスクトップPCとセットで販売されるディスプレイがLCDに移行したことが、LCDの伸びを後押しした。ノートPC用液晶も同30%増えている。PDA用液晶は前年比3%減。

 LCDのサイズ別では、15インチが前年比18%の伸びだたったのに対し、16−17インチが同117%増の急激な伸びを示した。CRTは全サイズで微減している。

 データプロジェクター用液晶と、同DMDパネルはそれぞれ20%強増えた。

 2004年にはLCDは前年比40%増の7084万台とCRT台数を上回り、2006年には1億169万台になるとの予測。ノートPC用は長期的に2桁成長が続くとの読みだ。CRTは減少傾向が続き、2006年には4002万台に減ると見ている。PDA用は横ばい状態が続く。データプロジェクターは、堅調な成長が続くと見込んでいる。

複合機が急伸、スキャナ需要を吸収

 プリンタの世界出荷台数は前年比8%増の9470万台。うち、スキャナ機能などを一体化したインクジェット複合機が前年の約2倍となる2100万台に急増したほか、ページプリンタ(単体、複合機とも)が10%弱伸びた。カラーページプリンタが増やし、全ページプリンタの1割に上った。一方で、単体のインクジェット機は8%、ドットマトリックス機は4%シェアを下げている。

 出荷金額も4%増の約4兆5800億円。インクジェット複合機が前年比58%増、ページ複合機が同10%増だった一方、単体インクジェット、単体ページプリンタ、ドットマトリックス機は10%前後下げている。

 2004年以降、市場は緩やかに成長を続ける予測で、2007年の販売台数は1億1500万台強になると見ている。

 インクジェットは5−10%成長を続ける見通しで、特にインクジェット複合機は急拡大するとの予測。2007年にはインクジェット機全体の過半数を複合機が占めると見ている。

 ページプリンタも緩やかに成長する予測。カラー製品が拡大し、2007年には全体の22%をカラーが占めるとの予測だ。

 ドットマトリックスの減少傾向は続くと見ている。

 複合機に押された形で、単体フラットベッドスキャナは国内出荷台数ベースで前年比25%減(482万台)、金額ベースで同30%減(533億円)と大幅なマイナス成長となった。ただし、OCRやイメージファイリングに利用されるシートフェッドスキャナは台数ベースで同97%、金額ベースで同43%増えたほか、フイルムスキャナは台数で同18%増えており(金額は20%減)、スキャナ全体の市場規模は511万台(同23%減)、755億円(同20%減)となっている。

 2004年以降も、フラットヘッドスキャナの減少傾向、シートフェッドスキャナの増加傾向は続くと見ている。フイルムスキャナは横ばいとの予測だ。

OCRは横ばいから回復へ

 OCR機器(専用ハード、ソフト)は、金額では114億円、台数では20万台と、ともに前年比約6%減。不景気の影響が響いた。

 2004年以降は景気の回復とともに回復基調で推移、デジタルペンで読み取り可能な新製品などにより、市場が拡大することも期待されている。

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