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ここしばらく、スペック的な進化が止まってしまい「中年の危機」とまで揶揄されていたハードディスクだったが、「容量400Gバイト」という大台突破に多くの読者が注目したようだ。
日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)が発表した「Deskstar 7K400」には、革新的な技術が採用されているわけではない。記憶媒体は同社がイベントで参考出品している垂直方式ではなく、すでに多くのハイエンドコンシューマー向けハードディスクで採用されている80Gバイトプラッターだ。
Deskstar7K400は、その80Gバイトプラッターを5枚搭載し、すべての両面にアクセスするためにヘッドを10本載せることで、容量400Gバイトを実現している。ハードディスクの筐体にこれらすべて詰め込むのは、そう難しいことではない。このように既存の技術とパーツを使っているので、ほかのハードディスクベンダーも同様な製品を投入するのはそれほど不可能なことではない。
問題はプラッターとヘッドの数が増えれば、コストに大きく響いてくること。価格競争が激しいハードディスク、とくにコンシューマー向けの製品で、このようにコストのかかる製品に価格競争力を持たせるのは難しい。パーツショップに並んでいる多くのハードディスク容量が長いこと250Gバイトで止まっているのも、このあたりの事情が影響している。
HGSTでは、Deskstar 7K400のターゲットをPCではなく、HDDビデオレコーダーなどのデジタル家電においている。動画データを扱わないPCユーザーにとって、200〜300Gバイトといった大容量データストレージの必要性がそれほど重要視されていない現状を考えると、HGSTのマーケティングは正しいといえる。
しかし、今年から急激な成長が見込まれるデジタル家電が価格競争に突入したとき、Deskstar 7K400のような製造コストがかかるストレージパーツを搭載することが、価格競争力にどれだけ影響を与えるだろうか。「大容量だから高額でもいい」と考えるのは自作PCパワーユーザーの一部であって、大量生産が要求されるHDDビデオレコーダーメーカーではないはずだ。
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