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MSからSunへの10年の支払いで包括クロスライセンス

» 2004年04月09日 13時34分 公開
[IDG Japan]
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 先週発表されたMicrosoftとSun Microsystemsとの歴史的和解の一環として、Microsoftは、Sunから特許侵害訴訟を起こされるのを防ぐため、毎年数百万ドルをSunに支払うという選択肢を与えられている。Sunの法務担当副社長が4月8日明らかにした。

 「損害賠償請求訴訟を避けるための契約」として知られるSunとMicrosoftの先週の合意で、両社は過去の侵害行為をめぐって互いに提訴しないことで合意しているが、Microsoftがもし、この契約の一部を延長しようと決めた場合、同社はSunに毎年の支払いをすることになる。この合意では、Sunに毎年支払いをすることで、契約適用期間を最長10年間延長できる権利をMicrosoftに与えている。その支払い額は、2014年までの総額で最大4億5000万ドルになると、Sunのリー・パッチ法務担当副社長は広報担当者を通じて8日明らかにした。

 さらに、Sunが米当局に8日提出した書類によると、もしMicrosoftが毎年支払いをし、Sunを特許侵害で訴えなかった場合、両社は2014年に、互いが保有する特許と2014年までに出願した特許すべてを対象とする包括的クロスライセンス契約を結ぶことになる。このクロスライセンス契約は、現有製品とその将来バージョンに適用される。

 訴訟回避契約は、MicrosoftとSunが先週結んだ和解+10年協力契約の一部。この取引の下、Microsoftは既に、特許侵害論争解決のために9億ドル、Sunの対Microsoft独禁法訴訟和解のために7億ドル、Sun技術の使用料として3億5000万ドルを支払うことに同意済みだ。

 両社は先週の段階から、互いの一部特許のライセンスのため、別の契約にも取り組んでいると話していたが、それが実際にどの契約を指すのかは明らかにしていない。しかし、ある特許弁護士は、Microsoftに訴訟回避契約を毎年延長する権利を与えているのであれば、それは包括的クロスライセンス契約と同じことだと指摘する。

 「これは事実上、両社の全特許資産を対象とするクロスライセンス契約だ」とボストンの法律事務所Testa Hurwitz & Thibeaultのパートナー、スティーブン・フランク氏は指摘する。

 しかしSunは『訴訟回避契約=ライセンス契約』とはとらえていない。「クロスライセンスというのは極めて複雑なものだ。合意を作成し完成するには時間がかかる」とSun関係者。

 Microsoftに電話で本件に対するコメントを求めたが、返事はなかった。

 フランク氏によると、両社の訴訟回避契約には二つばかり異例な点がある。Microsoftが毎年末、契約延長のためSunに支払いをしたいかどうか決断するという点と、Sunには契約延長についての発言権がなく、一方的な契約解消ができない点だという。

 「Microsoftには、どちからが提訴するのを避ける権限があるが、Sunにはない。もしMicrosoftが支払いをしなければ、すべての賭けは帳消しになる。Microsoftはどうも、Sunの特許が自社のビジネスにとってどれだけ長期にわたって有用かを測りかねているようだ。同社には毎年末、支払いをストップする権利がある」(フランク氏)

 フランク氏はまた、もしMicrosoftが全額を支払い、かつSunを訴えずに2014年を迎えた場合に成立する包括的クロスライセンス契約は、それほど珍しいタイプのものではないと言い添えた。「当事者の目的が全係争の解決にある場合、こうした契約が結ばれることは多い」と同氏は語っている。

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