P2Pファイル共有ソフト「Winny」の開発者が逮捕された事件で、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は5月10日、「P2Pソフトの開発・配布者が権利侵害行為への悪用を予見していた場合、一定の責任が生じる」とする久保田裕専務理事名のコメントを発表した(関連記事参照)。
ACCSはコメントについて、「事件を詳細に把握していないため、ファイル交換ソフトの開発・提供についてACCSの基本的な考え方」を述べてコメントに代えるとした。
コメントでは、現段階では権利侵害を防止する措置を施さずにP2P技術をファイル交換サービスとして応用した場合、「実態として日常的、継続的かつ大量に著作権などの権利侵害行為に悪用されることは明らか」と指摘した。
このため悪用を予見・認識した上で敢えてファイル交換ソフトを開発・配布し、予見通り著作権侵害行為が行われた場合、「少なくとも著作権侵害行為を誘引、助長、援助したものとして、開発・配布した人にも一定の責任が生じるものと考える」と述べた。
一方で、P2Pは「分散処理というインターネットの基礎理念と符合する重要な技術」とし、「高度情報通信社会における極めて重要な技術の一つであると位置付け、秩序ある健全な発展を目指して、よりセキュアな応用事例を積極的に支援していく」とした。またファイル交換ソフトユーザーへの著作権モラル啓発活動も強化する方針。
ACCSのWebサイトは5月3日から自主的に閉鎖中。5月に入ってアクセスが増加し、許容量を超えたためで、「原因は不明だが、Winnyウイルス『Antinny』の攻撃のせいではないか」としている。
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