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» 2004年05月12日 19時41分 UPDATE

広域LAN経由で内視鏡手術をサポート 慶応大が国内初

広域Ethernet経由で送られてくる内視鏡の映像を、遠隔地にいる熟練の医師がリアルタイムで確認し、内視鏡を遠隔操作しながら音声で現場の医師にアドバイス。経験の少ない医師の内視鏡手術をサポートする。複数の医師が手術を監視するため、医療ミスの隠ぺいも防げるとしている。

[岡田有花,ITmedia]

 慶應義塾大学医学部と東京医療センターは5月12日、オリンパス、シスコシステムズ、日本テレコム、フォーカスシステムズの4社と共同で、広域Ethernet経由で内視鏡手術を遠隔地からサポートするシステムを構築、実際に運用して手術を成功させたと発表した。

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 内視鏡手術は、体内に差し込んだ細長い筒の先端に取り付けた小型のビデオカメラ(内視鏡)が映し出す映像をディスプレイで確認しながら、別の筒の先端に取り付けた小さなメスや鉗子で手術するもの。切開範囲が小さいため患者への負担が少なく、治りが早いのが特徴だ。同手術には高度な技術が必要だが、熟練した医師は少ないのが現状だ。

 今回発表されたサポートシステムは、内視鏡手術をする医師が、遠隔地にいる熟練した専門医からのアドバイスをリアルタイムに受けられるようにすることで、手術の安全性を高めるもの。同システムを利用した手術が、東京医療センターで3月25日に、胆石症の49歳の女性に対して行われた。

photo 指導医はマウス操作で内視鏡のズームや向きの変更が可能(左)。切開すべき場所などに矢印マークもつけられ、そのマークは執刀医のディスプレイにも表示される。執刀医は、内視鏡映像確認用の従来型ディスプレイと、指導医とネットワークで繋がったディスプレイの2つを見ながら執刀する

 指導医は東京医療センターから8キロ離れた慶應義塾大学病院のディスプレイで、内視鏡の映像をリアルタイムで確認、内視鏡を遠隔操作しながら、マウスカーソルで切開部を指定したり、音声でアドバイスした。手術時間は2時間6分。手術は成功したという。

 東京医療センターと慶応大病院間のを結ぶ回線には、日本テレコムの広域イーサネットサービス「Wide-Ether」を採用。従来、同様のシステムで使われてきた専用ISDN回線よりも低価格で広帯域なネットワークが構築可能で、高画質な映像をほぼリアルタイムで伝送できるようになった。

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 加えて、ネットワーク経由で内視鏡の向きを変えたりズームできるシステムをオリンパスが開発。従来のように音声で指導するだけでなく、実際に内視鏡を遠隔操作できるようになった。「内視鏡手術は、視野の確保が最も難しい」(慶應義塾大学法科大学院・古川俊治助教授)。熟練の医師が現場の医師に“見るべきところ”を正確に見せることで、手術の成功率を高める。

 また、執刀医以外の医師が手術をリアルタイムで監視することで、医療ミスの隠ぺいも防げるとしている。

 「臨床実験を通してシステムをさらに改良し、低価格化して普及を促し、より多くの患者が安全な内視鏡手術を受けられるようにしたい」(慶應義塾大学医学部・北島政樹学部長)。

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