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デジタル家電市場を目指すPC機器メーカー、“アウェイ”での勝機は?(2/2 ページ)

» 2004年05月18日 08時31分 公開
[中嶋嘉祐,ITmedia]
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ナナオのジレンマ

 量販店に展開したアイ・オーに対し、ナナオは販売規模を求めずにWeb直販中心の販売形態を選んだ。同社はFORISシリーズの新モデルを追加していく計画だが、現在のところ、今後も量販店で大規模に販売していく考えはないという。「ナチュラル、高画質というコンセプトの発信から販売までを一括して自社で行いたい。量販店での大規模販売に踏み切ると、否応なく価格競争に巻き込まれる」(カスタマーリレーション推進部販売促進課販促2係主任・古田裕之氏)

 画質を売りにするナナオ、選んだ販売形態はWeb直販。Dellの成功からか、Web直販と言えば費用対効果を重視した製品に適するという印象がある。

 「実際に見比べてもらわないと、価値に見合った製品かどうか、なかなか分かってもらえない。価格を武器にするDellとは違い、そこにジレンマがある」

 同社はこの問題を、Web直販という方針を決定した当初から課題として認識している。ナナオはこの問題に対応すべく、製品に触れる機会を増やすそうとFORIS設置店舗の拡大に取り組んでいる。

PCユーザーとコンシューマー

 PC関連メーカーとして認知されてきた両社、PCになじみの薄い一般の消費者をどれくらい取り込めているのだろうか?

 Rec-POTをリリースした際、アイ・オーの受けた問い合わせはPCユーザーからのものがほとんどだった。その後、新製品のリリースを重ねるに連れて量販店からの受注も増え、一般層の取り込みも進んでいるという。

 ただし、一般層を取り込んだことで問題も生まれている。PCユーザーと比べ、一般層は比較的機械に弱い。取扱説明をセットアップCDを入れるところから始めるなど、使い方をPC向け機器以上に細かく説明しないと理解してもらえない。サポート窓口への電話問い合わせは、増加の一途をたどっているという。

 逆にナナオのFORISの場合、技術的な細部まで突っ込む質問が寄せられるディスプレイに比べると、問い合わせ件数は少ないそうだ。

 ナナオが発売後1カ月間に回収したアンケート結果によると、一般層が占める購入率は全体の3分の1を占める。「販売も順調に進んでいる」と同社。

 また、ある量販店のDHV対応HDDプレーヤー売場担当者は、「Rec-POT Mはアイ・オーになじみのあるユーザーに好評で、他社製プレーヤーの売れ行きを上回っている」とコメントしている。

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