米国と欧州連合(EU)の両方で独禁法違反に問われているMicrosoftはここ数カ月、独占企業から「善良な企業市民」へとイメージの転換を図る取り組みをひそかに進めてきた。
公共セクター担当の組織を新設して政府機関によるIT調達決定に影響を与えることを目指し、地域および国ごとにこの取り組みを率いるCTOを任命している。今年初めには公共セクターを主要ビジネス分野の一つと位置付け、教育、研修、コミュニティープロジェクトへの投資を加速させてきた。
欧州の独禁法当局は今年、同社に対して米国よりも厳しいスタンスを取り、6億ドル以上の罰金を科すとともにWindows Media PlayerをバンドルしないバージョンのWindowsリリースを命じたが、Microsoftは特にこの地域で、公共セクター市場に力を入れている。
ロンドンでこのほど開かれた公共セクターのイベントでMicrosoftは、政府機関が自らITを導入するためのポータル開設を発表、Accentureと提携して、電子政府や公衆安全といった分野で欧州政府向けのソフトとサービスパッケージ開発に当たる計画を披露した。
公共セクター市場は、Microsoftとは大きく異なるビジネスモデルをうたったLinux提供企業に引き付けられており、Microsoftが今後の成功をものにしたいのなら、このような姿勢の転換が必要だとアナリストは指摘する。
独禁法訴訟やデスクトップの代替としてのLinuxの評価の高まり、欧州、アジア、南米の新市場で公共セクターには新たなチャンスが見込めることから判断して、Microsoftはコミュニティーで主導的な役割を果たすことが必要だと判断したのだと、調査会社Ovumのディレクター、エリック・ウッズ氏は指摘している。
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