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「ネトゲとバスケ、何が違うの?」――高校生のつぶやきITは、いま──個人論

» 2004年06月11日 19時40分 公開
[取材班,ITmedia]

 オンラインゲームは、中学のころに始めた。「Age of Empire」シリーズに「Diablo」、「STAR CRAFT」。「Ultima Online」(UO)や「リネージュ」は、2年以上続けている。

 高校から帰るとPCを立ち上げ、毎日4時間くらいオンラインゲームで遊ぶ。ただ、彼にとってそれは“すべて”じゃない。

 「ネトゲ(ネットゲームの略)は暇をつぶしやすいんですよね。あくまで趣味です。休日は半日近くやることもありますけど、自分の生活そのものだとは思いません」。

 オンラインゲームとスポーツのどこが違う? 自分にとっては同じだ。今はオンラインゲームに執着しているように、昔はバスケットボールを楽しんでいた。形が違うだけで、根底にあるものは同じじゃないか。

 「ネトゲ以上におもしろいものがあれば、多分そっちに移るかな」。最近はカードゲームにはまっちゃって、小遣いがピンチなんですよ――。オンラインゲームは選択肢のうちの一つ。でもそれはこれまでのところ、彼にとって非常に魅力的な選択肢であり続けている。

「ツボにはまっちゃった」

 オンラインゲームと出会ったのは、友達の家に遊びに行った時のこと。友達の父親の勧めがきっかけだった。リアルタイムストラテジー(RTS)ゲーム「STAR CRAFT」を見て受けた衝撃。「あれでやられました」と彼は言う。

 キャラクターをリアルに操作する。そんなストラテジーゲーム、これまでになかった。

 「判断力やスキルが、これまで以上に必要になりますから。それがすごくツボにはまったんですよ」。

 RTSでは力量差が明確に現れ、純粋な力比べが楽しめる。またMMOPRG(多人数参加型RPG)には、仲間と連携を取るコミュニケーションのおもしろさがある。

 「コンピュータ相手じゃ楽しめる限度がありますけど、人となると可能性は無限大ですから」。

 オンラインゲームは、家庭用ゲーム機と違う。突き詰めていけば、それは人間を相手にして遊ぶ面白さだという。年齢、地域に関係なく、仲間が広がるオンラインゲーム。戦う相手も見つけやすい。

「友達が来た時は普通に格闘ゲームしますけどね」

 STAR CRAFTに出会うまで、そもそもPCを持っていなかった。中学生だった当時、親にはねだらず、お年玉などで貯めた貯金を崩してPCを自作した。

 「CPUをはめるときなんてもう怖い怖い。今にもマザーボードが折れそうじゃないですか」。

 地元の友達とも普通に遊ぶが、1人を除いて自分用のPCを持っていない。「でも、そいつもPCの調子が悪くって、今はできないんです」。

 友達を無理に誘う考えはない。

 「あくまで個人的な趣味なんで。ただ、やっぱりみんなでやった方が、楽しいとは思いますけど。友達が来た時は、普通に格闘ゲームをしますけどね」。

 「ただ、家庭用ゲーム機で対戦するには、家まで来てもらわないとできないですから。ちょっとっていう感じですよね」。

 ネットで仲のいい人ができても、やっぱりリアルな友達の方が大切。ネットの人が信用できないとかいうわけじゃないけど、チャットだけじゃ人は分かりませんから、と話す。

──あなたにとって「IT」とは?

 「まだまだ可能性のあるもの! また次の『趣味』を生み出してくれるんじゃないかな」。

 高校を卒業したら、IT系の専門学校に通いたい。特にやりたい仕事は決まっていないが、とりあえず知識を得て、将来のことを考えたいと思っている。

 インターネットとPCが爆発的な普及を始めて10年がたとうとしています。この間、万能論から悲観論まで、ITをめぐってさまざまな議論が交わされてきました。

 ITが私たちの何を変え、何が変わりつつあり、何を変えないのか。広くITにかかわる個人に焦点を当て、“ITのいま”を考えていきます。随時掲載。

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