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IP電話の規制免除は「テロリストに有利」と米司法省高官

» 2004年06月17日 08時49分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米上院委員会で6月16日、IP電話を州と連邦の規制対象から除外するという上院法案に対し、「テロリストに通信傍受回避手段を与えるものだ」として、米司法省の高官が法制化への反対意見を述べた。

 ローラ・パースキー米司法副長官代理は上院委員会で、この法案「VoIP Regulatory Freedom Act 2004」は、VoIPサービスを米盗聴法の対象から除外するものだと語った。「この種の電話サービスが、犯罪者、テロリスト、スパイの避難所とならないようにすることが、どんなに大事かを強調したい。特定の技術を特例として規制免除すれば、その技術はすぐに犯罪者の関心を呼び、市民と国家の安全を守るための法の執行に抜け穴ができてしまう」と同氏。

 法案を支持するジョン・スヌヌ上院議員は、IP電話に厳しい規制をかければ「革新と投資意欲が損なわれる」ことになり、数十の州政府がこの手のサービスに課税を始める前に、法案を通す必要があるのだと説明した。

 スヌヌ氏ら法案支持者は、司法省などの法執行機関には、インターネット企業への通信内容開示の裁判所命令を取るなど、ネット通信を追跡する手段がほかにもあると指摘。また、ロン・ワイデン上院議員は司法省のパースキー氏に、IP電話を使って盗聴を免れている犯罪者の例を挙げるよう求めた。だがパースキー氏は例を挙げることができなかったため、ワイデン氏は「まだ起きてもいない問題を理由に是正を求めているようだ」と指摘した。

 パースキー氏は、司法省はこの法案に大筋賛成しているが、法執行力を失いたくはないのだと回答した。

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