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「PeopleSoft買収は生き残るため」とエリソン氏

» 2004年07月01日 19時13分 公開
[IDG Japan]
IDG

 OracleがPeopleSoftを買収したいのは、再編が進み、競争が激化するビジネスソフト市場で生き残るためだと、Oracleのラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)は米司法省の訴訟で証言した。この訴訟は、77億ドルをかけたOracleのPeopleSoft買収提案を阻止するために起こされたものだ。

 「当社の周囲ではかなり再編が行われており、われわれは統合型企業になり生き残りたいと思った」とエリソン氏は6月30日、カリフォルニア州北地区連邦地裁で語った。Oracleは昨年6月、ライバルのPeopleSoftがJ.D. Edwardsの買収計画を発表した数日後に、PeopleSoftの敵対買収を打ち出した。

 司法省は2月に、Oracleの買収計画を阻止するために訴訟を起こした。買収が成立すれば、大企業向けハイエンド財務・人事管理ソフト市場において顧客の選択肢はSAPとOracleに限られ、製品価格の上昇につながるため反競争的だというのがその理由だ。

 白いシャツに赤いネクタイ、シャープなグレイのスーツに身を包んだエリソン氏は、司法省の見方に異を唱えた。SAPとの競争が激化し、Microsoftがこの市場への参入を狙っているため、Oracleは競争で優位に立つために、製品を改良し、かつ価格を引き下げる必要があると同氏は語った。

 「技術投資を増やし、同時に価格を下げる唯一の方法は、導入基盤を拡大することだ。成長し、効率的に競争して行くには、買収しかなかった」と同氏は語り、Oracleは複数の買収候補を検討し、そのリストの一番上にあったのがPeopleSoftだったと述べた。

 PeopleSoftはOracleの申し出に抵抗しているが、同社は2002年からOracleと合併交渉を行っていた(6月28日の記事参照)。当時は合併後の企業構造に関して意見が一致しなかったとエリソン氏は話す。

 Microsoft自身は大企業向けビジネスソフトの販売計画を否定しているが、エリソン氏は、同社が主要プレイヤーになると確信している。

 「Microsoftがビジネスソフト市場を独占できるとは思わない。データベース市場のように、同社はシェアを伸ばして、最終的に強敵になるだろう」(同氏)

 「さらにMicrosoftが参入してきたら、価格は急速に下がるだろう。同社は常に低コストで製品を提供し、タダで提供することもある」とエリソン氏はブラウザ市場を引き合いに出して言った。

 Oracleは、PeopleSoft買収が実現した場合に、PeopleSoft顧客を少なくとも10年はサポートし、Oracleのアプリケーションとデータベースを無料で提供すると約束しているとエリソン氏。Oracleは(合併後に)PeopleSoft製品の積極的な販売はせず、両社製品を統合した後継製品を開発する予定だという。

 「OracleとPeopleSoftの製品の機能性を統合した後継製品を開発し、顧客がアップグレードしやすくするつもりだ」(同氏)

 エリソン氏の証言には、多くの傍聴人が詰めかけた。裁判所スタッフの見積もりでは150人に上ったという。昼休みの間には裁判所の外に見物人が並び、その多くは審理再開の際に法廷に入ることができなかった。

 この証言は、6月7日に始まったOracle側弁護の終盤に行われた。同社は司法省の反証証人の後に、7月1日(米国時間)にもう1人証人を呼ぶ計画だ。

 最終弁論は7月20日に予定されており、ボーン・ウォーカー判事は8月か9月に判決を下す見込みだ。

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