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MSのパッチ管理ツール、またもリリース延期

» 2004年07月13日 12時30分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Microsoft幹部は7月12日、Windows XPに関連したセキュリティの取り組みを優先したことを理由に、パッチ管理ツールとシングルパッチサービスの重要なアップデートを来年前半に延期することを明らかにした。

 この結果、現行のWindows Updateサービスの後継として計画されている「Microsoft Update」と、「Windows Update Services(WUS)」(旧称「Software Update Services(SUS)2.0」)は、当初の予定より丸1年遅れて登場することになる。両製品とも既に当初のリリース目標である2004年前半から、同年後半に延期されていた。

 Microsoftは、Microsoft UpdateとWUSを昨年10月ニューオーリンズで開催したWorldwide Partner Conferenceで発表した。今回の延期は、カナダのトロントで開かれた2回目の同イベントで明らかにされた。今回のイベントで、同社はパートナー各社にセキュリティを「競争上の優位」として売り込んでいる(7月9日の記事参照)。

 同社セキュリティビジネス&テクノロジー部門責任者マイク・ナッシュ氏は、β段階にあるWUSを仕上げる前に、Windows Updateバージョン5を完成させなくてはならなかったと語る。これは、間もなくリリースのWindows XP Service Pack(SP)2の配布に利用されるWindows Updateの中間アップデートだ。

 「WUSチームは今、Windows Update 5に関する作業からWUSに移っているところだ」とナッシュ氏はカンファレンスでの取材に応えて語った。WUSとMicrosoft Updateは密接に関連しているため、両製品ともに延期されたと同氏は説明している。

 アナリストの1人は、Windows Update 5は本当にWUS延期の理由なのかと疑問を抱いている。Microsoftはより込み入ったパッチ管理システムを構築する際の複雑さを低めに見積もっていたのではないかと、Directions on Microsoftの主席アナリスト、ピーター・ポーラック氏は指摘している。

 「分析の結果、WUSのβ版にやり直さなくてはならない問題が多数あったのではないかと推測している」とポーラック氏。Windows Update 5は、WUS延期の理由になるほどの大事ではないと同氏は語る。

 それでも半端な製品を急いで出すよりは延期する方がいいと同氏は言う。「Microsoftは(セキュリティ機能を)弱点ではなく競争上の優位と位置付けようとしているため、延期は残念なことだ。だがバグや欠陥だらけのものを慌ててリリースすれば、同社にとっては延期よりも大きな打撃になるだろう」

 パッチの適用はIT部門にとってもコンシューマーにとっても、大きな頭痛の種だ。Microsoftはその救済手段としてMicrosoft UpdateとWUSを売り込んできた。

 Microsoft Updateでは、ユーザーが1つのサービスでWindowsだけでなく全Microsoft製品のパッチを入手できる。このサービスは現行のWindows Updateと同様に、主にコンシューマーと小規模企業を対象とする。

 WUSは、企業ユーザー向け無料パッチ管理ツールであるSUSの重要なアップデートだ。WUSはパッチ配布、ステータス報告、ネットワーク処理が改善され、実装と管理の柔軟性が向上しているとMicrosoftは説明している。また新機能として、WindowsだけではなくSQL Server、Office System、Exchange Serverにもパッチをあてる機能が提供されるという。

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