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「金を出さなければDoS攻撃」と脅迫、ロシアで3人逮捕

» 2004年07月22日 19時17分 公開
[IDG Japan]
IDG

 英国とロシアの捜査当局は、スポーツくじサイトから数十万ドルを脅し取ったとされる大規模な恐喝組織を摘発した。英国のNational Hi-Tech Crime Unit(NHTCU)が明らかにした。

 7月20日にロシアのサンクトペテルスブルク、ロシア南西部のサラトフ、スタブロポリでそれぞれ21歳、22歳、24歳の3人の男性が逮捕された。NHTCUの広報担当フェリシティ・ブル氏によると、3人は起訴されていないが、脆弱性を突いて乗っ取った「ゾンビ」コンピュータを使って、「用心棒代」の支払いに応じなかったスポーツくじサイトにサービス拒否(DoS)攻撃を仕掛けた組織に参加していた容疑がかけられている。

 英国のコンピュータ犯罪を捜査するNHTCUは、ロシア内務省のコンピュータ犯罪専門部隊および調査委員会と協力して捜査に当たった。

 20日の逮捕劇は、2003年10月の英Canbet Sports Bookmakersからの苦情を受けて行われたとブル氏は説明している。同社は自社サイトが攻撃されるのを防ぐため、用心棒代を支払わざるを得なかったという。

 NHTCUとロシアの捜査官は従来の捜査手法とコンピュータ法医学を駆使して、DoS攻撃の発生源に関する情報と送金記録を使って犯人を追跡し、その身元を突き止めた。昨年11月にはラトビアのリガで、恐喝組織のメンバー10人が逮捕された。これが今回の3人の逮捕につながったとブル氏は言う。

 当局はロシアと他国の組織的な犯罪グループがこの恐喝組織を運営していると考えている。この組織がスポーツくじサイトからいくら脅し取ったのか、どれだけのサイトが恐喝を受けたのかを当局はまだ把握していない。脅し取られた金額は数十万ドルに上ると見られている。

 スポーツギャンブルサイトは、各種スポーツイベントに関して洗練されたWebページにオッズを掲載し、掛け金を集める。オンラインスポーツくじは米国では違法だが、英国などでは許可されている。

 この1年、資金豊富なスポーツくじサイトは頻繁に犯罪組織の標的にされている。こうしたサイトは掛け金をまかなうために、手元に3億〜4億ドルを用意していることが多いという。「用心棒代」の要求額はたいてい小規模サイトで1万〜4万ドル、大規模サイトはそれ以上になるとITコンサルタントのアムラン・ペナ氏。

 米国向けに運営されているスポーツくじサイトの多くは、コスタリカやベリーズなどの小国に本拠を置いている。こうした国では恐喝事件を捜査するためのリソースや専門知識が不足している。

 今回逮捕された3人が起訴された場合、公判はロシアで行われる。NHTCUはさらなる逮捕者が出ると予測している。

 「連鎖的にもっと多くの犯人が逮捕されると思う。誰か1人を捕まえれば、いもづる式にもっと多くの犯人が見つかる」(ブル氏)

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