米ClearSpeed Technologyはシングルチップに96個のプロセッシングコアを組み込むことで、ワークステーション・サーバクラスタ向けの高性能コンピューティングコプロセッサの性能を2倍に強化することに成功した。同社が10月6日、Fall Processor Forumで発表した。
この新しいコプロセッサ「CSX600」は250MHzで動作し、50GFLOPSを実現できる。同社が昨年のMicroprocessor Forumで発表した200MHzの「CS301」と比べると、大幅な改善だ。CS301はPCIカードを介してワークステーションやサーバに追加した場合、25GFLOPSだった。
コプロセッサは、通常のプロセッサから、高負荷の演算処理の負担を取り除くことで、システム全体の性能向上を図るために使われている。そうした演算処理をCSX600に委ねることで、設計技師や遺伝子研究者などのユーザーは、専門のアプリケーションを個人やワークグループのマシンで実行できるため、サーバやクラスタの利用時間をめぐって同僚と争う必要もなくなる。
ClearSpeedのアーキテクチャ担当ディレクター、サイモン・マッキントッシュ−スミス氏によれば、今回の性能強化はCSX600に96個のプロセッシングユニットを置くことで実現できた。それぞれのユニットが多くの電力を使わずに大量のアウトプットを生成するVery Long Instruction Word(VLIW)プロセッサコアであり、ワット当たり最大10GFLOPSを実現できる。
既存のシステムに組み込む製品や、マザーボード上で汎用プロセッサと並べる製品にとって、消費電力は大きな問題だ。ClearSpeedは、システム設計者が高性能コンピューティング(HPC)市場向けのシステムにCSX600を採用することを期待している。ただし同社は当初、x86命令セットをベースとした既存のワークステーションやサーバに挿入でき、CSX600プロセッサ2基を搭載するPCI-Xカードを約5万ドルで販売する計画だ。
古いPCI-Xバス技術は、全体的な性能にとってボトルネックとなる可能性がある。マッキントッシュ−スミス氏によれば、ClearSpeedがPCI-Xを選んだのはこの技術が広く普及しているからだという。現在、IntelがPCI Expressと呼ばれるより高速なPCI技術の普及に当たっており、今後こちらの技術を採用するサーバやPCが増えてくれば、こうした懸念も軽減されるはずだと同氏。
コプロセッサの性能を活かすためには、ソフトの移植が必要。ClearSpeedは、関心のある開発者向けに自社のWebサイトでソフト開発キットを提供している。
Orion Multisystemsは今年8月、デスクトップとワークステーションに大量の処理能力を与えるという同様の目的で、新製品をリリースしている(8月30日の記事参照)。このOrion初のワークステーションはシステム基板にTransmetaのEfficeonプロセッサを複数搭載し、ClearSpeedと同様の省電力・高性能化のアプローチを採用している。
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