ビザ・インターナショナルは、オンライン決済時のVISAカード利用率をさらに高めたい考えだ。セキュリティ対策「VISA認証サービス」を大々的にアピールし、安全性を懸念するユーザーを取り込む。10月22日、同社はVISAカード発行企業(イシュアー)向け説明会を開き、オンラインショッピングのクレジットカード決済の現状と戦略を説明した。
オンラインショッピングを中心とした国内B2C市場は順調に成長中だ。NTTデータ経営研究所などの調査によると、国内B2C市場規模は4兆4240億円で、前年比68%増。ここ5年間で見ると69倍に拡大した。
Web上で決済完了できるクレジットカードは、オンラインショップと相性がいい。エーシーニールセン・コーポレーションの国内調査によると、オンライン決済で最もよく利用する決済方法として、約4割のユーザーがクレジットカードを挙げた。中でもVISAカードの利用率が最も高く、全体の16%を占める。
カードをさらに利用してもらうため、カギとなるのがセキュリティの強化だ。カード利用を不安視する意見は根強く、同調査によると、オンラインショップを利用したことがない人のうち20%が「インターネットは信用してクレジットカードを利用できない」と回答。利用したことがある人でも20%が「一部のサイトは信用してクレジットカードを利用できない」と答えている。
こういった声を受け、同社は2002年から「VISA認証サービス」を導入した。オンライン決済時、カード番号と有効期限に加え、別に設定する暗証番号と専用のパスワードを要求して確実に使用者本人を認証し、なりすましなどの悪用を防ぐシステムだ。
認証サービスは、国内500店舗に導入済みだが、知名度が足りずに利用が進んでいないのが現状だ。同社は大型加盟店への参加を呼びかけるほか、マーケティング活動を強化して認知を高め、利用を促す。
認証サービスが普及すればするほど、同社の売り上げはアップする計算だ。同調査によると、認証サービスを使った場合のオンラインショッピングの年間平均支出額は10万8000円。認証サービスを利用しない場合の平均を2万円上回る。
ただ、認証サービスは、一部の加盟店やユーザーには評判が悪いという。別々のパスワードを2回入力せねばならなず、面倒な手続きが増えるからだ。新技術推進部の山本正行ディレクターは、「ネット決済で最も重要なのはセキュリティ。簡便性はある程度犠牲にしても、安全性を高めるべき」とし、今後も理解を求めていく。
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