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HPは「ハードだけじゃない」――フィオリーナCEOの悩み

» 2004年11月05日 10時11分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Hewlett-Packard(HP)のCEO(最高経営責任者)カーリー・フィオリーナ氏の悩みの種の1つは、同社のハード企業としての評判だ。

 「悔しいことに、HPはハード企業と言われることが多い。だが、われわれが提供する価値は、ソフトにおけるものがますます多くなっている」と同氏は11月4日、Gartnerのアナリストに語った。同氏はカンヌで開催のGartnerのSymposium/ITxpoのキーノートインタビューでアナリストらと話した。

 「当社は技術スタッフの間で、ハードを主とする観点からソフトを主とする観点への大きな変革を行った」と同氏。

 ソフトは現在、HPにとって非常に重要なものとなっており、同社は今後、管理ツール「OpenView」シリーズの売上高を別々に報告する予定だ。OpenViewは最近のこの分野での8件の買収により、アプリケーション・業務プロセス管理を網羅するレベルにまで進化するだろうとフィオリーナ氏。

 ソフトの重要性の高まりにより、HPが今後もPC製造に従事するのかどうか疑問視する向きも一部あるかもしれないが、HPは利益を出せる限りPC事業を続けるつもりだ。

 「私は、『戦略的』が赤字を意味するのであれば、戦略的ビジネスを信用しない。だから当社はPC事業を黒字に戻すために懸命に取り組んできた」(フィオリーナ氏)

 HPのPC事業の利益率はソフト事業ほど高くないが、「資本に対して十分なリターンがあり、良好な事業だ」と同氏。

 デスクトップPCは、HPにとってエンタープライズソフトを販売し、企業顧客を訪問する際に不可欠な足がかりを得るチャンスにもなる。

 「企業に入り込んでアダプティブ・エンタープライズの話をするために、当社がとっかかりとする分野の1つがデスクトップ管理だ」(フィオリーナ氏)

 PC事業におけるHPの経験は、家電事業成功のカギでもある。

 「当社のPC事業は、家庭にデジタルコンテンツを提供する上で欠かせない役割を演じる」と同氏は語った。

 HPはホームオフィス向けPCサプライヤーとしては初めて家電市場に進出し、その一方で従来の家電メーカーはリビングルームに製品を提供していた。現在はこれら2つが融合し、HPはソニーと競争していると同氏は話した。

 ほかにも多くの家電メーカーがガジェットに焦点を当てているが、HPはフィオリーナ氏が「ほかの家電企業が当社ほどうまくやれない」と考えるものに集中しようとしている。それは同氏によると、コンテンツ制作、配信、消費の水平統合になる。

 家電はHPの年間売上高800億ドルのうち、約200億ドルを占めるという。

 フィオリーナ氏は、HPの現在の財務実績についてのコメントを避け、同社は第4四半期(8〜10月)決算報告前の「沈黙の時期」にあると語った。ただし、第3四半期業績に打撃を与えた問題は過去のものになったと同氏は主張した。

 これらの問題は、Compaq Computer買収に関わる「2つのシステムとプロセスの移行」の失敗によるものだ。1つは米国で、1つは欧州で起きた。HPは35件の同様の移行を完了したが、これら2つでは「スタッフらはこの問題の各部分に取り組み、一部で連携が欠けていた。当社はこれを理解し、対処したと思う」と同氏。

 GartnerのSymposium/ITxpoはカンヌのPalais des Congresで4日まで開かれた。

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