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現代のネット=明治時代の本?News Weekly Access Top10(2004年11月14日−11月20日)

» 2004年11月22日 22時01分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 総務省主催のシンポジウム「ネット・キッズ・ポップ」に関する記事が先週のアクセス2位にランクインした。

 同シンポジウムで東京大学大学院情報学環の山内祐平助教授は、「ネットは明治時代の本と同じ。世の中に受け入れられるまでまだ時間がかかる」と話した。

 山内助教授によると、本がさまざまな層に広く普及し始めた明治時代、子どもが本を読んでいると「本など読まずにおじいちゃんやおばあちゃんに話を聞きなさい」と親からたしなめられたという。当時の人々にとって本は、家族のコミュニケーションを妨げる脅威だったようだ。

 そして今の親は、インターネットに夢中になっている子どもを心配している。特に長崎県佐世保市の女児殺害事件以来、子どもにネットを触らせたがらない親が増えたという。ウイルスやフィッシング詐欺などといったセキュリティの問題も次々に現れ、「ネット=怖い」というイメージを持つ人も少なくない。

 山内助教授はこれを、新しいメディアや技術が現れた時の典型的な現象だとする。新技術は、登場当初は無条件にもてはやされるが、数年後に問題が次々に指摘され、危険視され始める。新技術がこれを乗り越え、一般に浸透するには数十年以上かかるという。

 ネットが数十年の長丁場を生き抜くために今必要なのは、お金と人のつながりだという。ネット教育を行うNPOは資金不足のところが多く、学校のネット設備も十分ではない。ネット教育に熱心な教師もいるが、協力し合う体制が未整備。政府がネット教育にこれまで以上に投資したり、教師同士が連携できる仕組みを作る必要があると、山内助教授は話していた。

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