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「このPDFは自動的に消滅する」――Acrobat 7の新セキュリティ機能

» 2004年12月02日 18時52分 公開
[IDG Japan]
IDG

 そのPDFから目を離してはいけない――自己崩壊する、つまり破棄されてしまうかもしれないからだ。

 この新機能は、間もなく発売の「Acrobat 7」のデモにおいて、Adobe SystemsがAcrobatをインテリジェントなドキュメントフローの中心として位置付ける上で重要な部分だ。

 Adobeの東南アジア地域グループマネジャー兼台湾販売マネジャーのレイモンド・リー氏は、Acrobat 7で静的なPDFファイルを超えるという同社の目標を強調した。この目標は、Acrobat 6でAcrobat製品がStandard、Professional、Elementsの3バージョンに分かれたときから明確に示されていた。

 セキュリティの点で見ると、Acrobat 7では文書レベルのセキュリティを従来より少ない手順で設定でき、企業は全社的な文書作成ポリシーを設定できる。「Adobe LiveCycle Policy Server」と組み合わせると、文書作成者は動的に、PDFファイルの閲覧を許可する相手をコントロールし、受信者に文書の修正、コピー、印刷、転送を許可するかどうかを決定できる。

 さらに、これらの許可は文書を配布した後でも変更できる。Adobe Policy Serverは、所定の受信者だけがファイアウォールの内外で保護された文書を開けることを保証する。

 特定の日に文書が期限切れになるように設定したり、必要であれば、コピーが何部配布されていようと、すぐに破棄されるよう設定することもできる。Adobe Policy Serverは利用ポリシーを強制的に適用するため、ポリシーが変更されても文書を配布し直す必要がない。

 Acrobat 7のもう1つの重要な特徴が、Adobe Reader 7.0のコメントツールを使って、どのユーザーでもPDF文書の電子レビューに参加できる機能だ。さらにバージョン 7では、Microsoft Officeスイートとの統合が強化され、Microsoft AccessとVisioのレポート、チャート、データベースを、そのままの書式でPDFにできる。Microsoft Outlookでは、フォルダ内の複数のメッセージを1つのPDFファイルに変換して、1つの文書の中にメールのやり取りをまとめ、回覧、アーカイブ、監査証跡に利用できる。

 「例えば、私がAppleとやり取りしたメールと添付ファイルが、書式はそのままで1つのPDF文書に変換される。これらのメールは日付と送信者によってグループ分けされる」(リー氏)

 またAcrobat 7はPDF Organiserインタフェースを備え、自分のPDFファイルを紛失しがちなヘビーユーザー向けの検索・履歴機能を提供する。リー氏が取り上げた調査結果によれば、企業文書の25%が保管場所を忘れられ、見つからなくなるという。従ってより的確に文書を追跡する方法が必要であり、PDF Organiserはその方法を提供できる。

 Acrobatファミリーは年末に提供開始され、Adobe Policy Serverは12月17日に出荷開始される予定だ。

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