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消費者向けECは4年後に5.5兆円規模に

» 2005年01月14日 18時40分 公開
[ITmedia]

 野村総合研究所(NRI)は1月14日、各IT市場について、2009年までの市場分析および市場規模予測を発表した。「eビジネス・ライフ」「放送」「プラットフォーム」「セキュリティ」「ハード」の5市場について調べた。

 これによると、eビジネス・ライフ市場では、消費者向け電子商取引(BtoC EC)やネットオークションなど、実物を取引する市場が生活基盤として定着し、今後も堅調に成長することが見込まれ、BtoC ECは2004年度の2兆8800億円から2009年度は5兆5100億円に、ネットオークションは2004年度の1兆800億円から2009年度には2兆800億円に拡大すると予測している。

 放送市場は、地上・BS・CSが受信できる薄型3波テレビへの買い替え促進に後押しされ、地上デジタル、BSデジタルともに順調な成長が期待できるという。2009年度末に、地上デジタル放送の視聴世帯は3791万世帯、BSデジタル放送は3167万世帯の普及が見込まれ、これらを合わせたデジタル放送市場規模は約2.2兆円に達する。

 しかし2006年以降の地上デジタルカバー計画が不透明で、現行のアナログ放送を2011年7月までに地上デジタル放送へ移行完了する計画は困難だと予測する。

 プラットフォーム市場においては、ICカードとRFIDの2分野が2010年までに急成長を見込まれるという。ICカード分野は、クレジットカードを中心に今後流通枚数が大きく拡大し、2009年度には4.6億枚に達すると予測。ただし、金額で見た市場規模は普及とともに単価が下がるため、新しい用途が広がらない場合、今後数年でピークを迎える可能性もあると指摘する。

 また、RFID分野は、2004〜2006年度にかけて導入への制約要因を緩和する可能性のあるイベントがいくつか予定されており、2007年度前後から関連市場が急激に成長し、2009年度には注目4業種(運輸、小売り、総合アパレル、製造)だけでも約1000億円を超えると予測されている。

 セキュリティ市場で今後拡大が予想される分野は、電磁波問題対策とバイオメトリクスの2分野。電磁波問題対策分野は、2009年には約160億円市場に達すると推計される。特に漏えい電磁波からの盗聴と「テンペスト」対策は今後大幅に市場拡大する見込みという。

 一方、バイオメトリクス認証機器分野は、2007年度に180億円程度の市場規模に拡大すると予想され、市場動向は電子パスポート、金融機関のATM、自治体の住民基本台帳ネットワークシステムへの採用がカギを握る、と同社は分析する。

 ハード市場は、携帯電話やデジタル情報家電の普及により、ここ数年で急激な成長を見せたが、今後は世界的な競争激化の中、多くの機器分野で「成長の壁」を感じることも考えられるという。

 デジタル情報家電の場合、2007年頃にはネットワーク機能搭載率が半数を超え、生活家電のデジタル化も進展するが、一方で製品ライフサイクルが従来の家電よりも短いため、2009年にかけて急激に成長が鈍化するとの予測だ。

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