マイクロソフトは3月15日、Windows XPのライセンスが正規であることを確認できたユーザーに対して、「Microsoft Photo Story 3 for Windows」や「Microsoft Office OneNote 2003限定評価版」などを無償で提供する「Windows Genuine Advantage Program(WGAプログラム)」の試験運用を開始したと発表した。
WGAプログラムは、米MicrosoftのWindows海賊版撲滅キャンペーンの一環として、米国で昨年9月に試験運用を開始したプログラムで、当初はMSN MessengerやMedia Playerなどをダウンロード提供している「ダウンロードセンター」において、正規版かどうかをチェックするだけのものだったが、10月27日には正規版と確認できたユーザーだけにPhoto Story 3を無償提供するようになった。さらに同社は1月25日にはWGAプログラムを中国やノルウェー、チェコなど12カ国に拡大する方針を明らかにしていた。
日本で行うWGAプログラムでは、Windows XPユーザーを対象に、ダウンロードセンターからプログラムをダウンロードしようとする際に、ユーザーの任意で参加させる。セキュリティ更新プログラムなど重要度が高いプログラムのダウンロードについてはWGAプログラムの対象外となる。マイクロソフトでは一般的なユーザーはダウンロードセンターではなく、Windows Updateや自動更新を利用しているため、WGAプログラム実施による混乱は避けられるとしている。
WGAプログラムにより正規版と確認されると、Photo Story 3 for Windows、Office OneNote 2003 180日限定評価版、およびLZH形式の圧縮ファイル展開機能追加ツール(4月提供開始予定)を無償でダウンロード利用可能になる仕組み。
ライセンス確認方法は、ユーザーが利用しているWindows XPがパッケージ版(FPP)またはシステムビルダー版(DSP)の場合、メーカーがPCにインストールして出荷するOEMプレインストールPCの場合、企業などの大量導入向けボリュームライセンスの場合、の3つの場合により異なる。
例えばOEMプレインストールPCの場合では、まずライセンス確認のためのActiveXコントロールをインストールし、次にPCに貼り付けられている「出所に関する証明書(COA)」に記載されているPID(25桁の英数字)を入力することによって、認証される仕組み。PIDが入力できない場合にはPCメーカー名や購入店名などを入力することによっても認証可能という。どの場合でも、一度ライセンス確認をしたあとは、HDDを初期化してOSをインストールするような場合を除いて、再び認証する必要はないとしている。また認証時にマイクロソフトに送られるデータの内容については、主にハードウェアの情報であり、個人が特定できるようなデータは一切送信することはないという。
マイクロソフトWindows本部シニアプロダクトマネージャの菅伸吾氏は、「日本市場ではモラル意識が高く、偽造/海賊版ソフトによる問題はわずかしかない」とし、日本でのWGAプログラム実施にあたっては「Windows XPユーザーに対して特典ソフトウェアを提供し、その価値を教授してもらうことが目的であって、偽造ソフトウェアの摘発を目的としたものではない」と説明し、海賊版撲滅を狙ったものだという見方を否定した。
無償プログラムといってもユーザーにとってあまり価値がないのではないか、という質問に対してはPhoto Story 3は(有償販売している)「Microsoft Plus!」向けソフトとして開発したもののバージョンアップ版であり、また、LZH圧縮ファイル展開機能追加ツールに関しては日本市場向けに新たに開発しているもので、価値があるものと考えているとした。また、試験運用中のユーザーの反応によっては、さらになんらかの追加も考えていると述べた。
マイクロソフトでは、現時点ではいつまで試験運用するかは決まっていないものの、2005年後半にはダウンロードセンターとWindows Updateを利用するためには、WGAプログラムによるライセンス認証を必須とする方針。その場合にはWindows 2000などWindows XP以外にも対象OSを広げる予定という。ただ、義務化実施後でも、自動更新機能によるセキュリティアップデートの利用はライセンス認証なしで利用できるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR