1年あまりかけて、Sun Microsystemsはオープンソース版Solarisのリリースに向け少しずつ前進してきた。しかしこの戦略のピースの1つは宙ぶらりんのままになっていた。Solarisの基盤コードはSCO Groupが所有しているため、Sunはほかのオープンソース版UNIXベンダーが直面している法廷闘争を避けられるのか、という問題だ。
だが4月13日の決算発表の際、SCOのダール・マクブライドCEO(最高経営責任者)は、SunはSolarisオープンソース化計画についてSCOと話をしており、SCOとしては何ら問題はないと明かした。
「われわれはSunのOpenSolaris計画の内容を見た。当社としてはこれに問題はない。彼らがやっていることは、われわれのUNIXの知的所有権を守っている」(同氏)
実際、「ほかの企業がもっとわれわれの知的所有権を尊重していたら、われわれは皆もっと幸せになっていただろう」とマクブライド氏は係争中のIBMとの訴訟を指して語った。
Sunは1年あまりかけて、Solaris 10のオープンソース化(OpenSolaris)を緩やかに進めた。だが今のところ、OpenSolarisのコンポーネントのうち公開されたのは、同OSの一部ではないDTraceなどのプログラムだけだ。
最近、SunはOpenSolaris Community Advisory Boardを任命した(4月5日の記事参照)。この動きはOpenSolarisへの関心をかき立てたかもしれないが、社内の関係者は、SCOが守っているUNIXコードを基盤としたOSをどうやったらオープンソース化できるのかという重要な疑問は未解決のままだと話していた。
昨秋、Sunの関係者は、オープンソース版Solarisの適切な知的財産ライセンス権を持っていると主張していた。
SCOの広報担当ディレクター、ブレイク・ストーウェル氏は9月の時点で、Sunのオープンソースライセンス計画についての質問に、「SCOはUNIXの知的所有権のためにIBMと戦うという意思表示をしている。Sunにもそれは分かっているはずだ」と答えていた。
さらに、アナリストとオープンソースコミュニティーのメンバーは、Sunの戦略と法的な選択肢について疑問を呈していた。
「SunがSolarisをオープンソース化するとは、私には理解しがたい」とIDCのシステムソフト担当副社長ダン・グズネツキー氏は9月の取材で述べていた。
「Sunはかなり前にUNIXのロイヤリティを前払いしたが、それでもSolarisがUNIXの派生物であることは認めるだろう――これはUNIXなのだ。SCO Groupは現在のUNIXのオーナーであり、自社の知的財産がオープンソースライセンスの下で自由に渡されることを決して認めないだろう」(同氏)
マクブライド氏はこの日、SCOとSunの間でどのレベルで――弁護士同士の話なのか、幹部の間での話なのか――話し合いが行われたのかを明かすことは避けた。「SCOは今、自社の権利が守られていることに満足している」と同氏。
Sunの幹部からコメントは得られていない。
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