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いっそスパムを楽しんでみては?

» 2005年05月19日 13時37分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 ほとんどの人はスパムは楽しさとは無縁のものだと思っている。だが、撃退できないなら楽しんでみてはどうだろう。もちろん、私は最近PCに向かいすぎなのかもしれない。しかし、いくら手間暇をかけてもスパムを目にすることになるのなら、割り切ってせいぜいましな付き合い方を心掛けた方がいい。そこで私は、日々ゲームとしてスパムに接しようとしている。

 外国語のスパムはいつも面白い。フィルタをすり抜けてくるスパムの中で私の一番のお気に入りだ。どのみちスパムを受け取るハメになるなら、読めないスパムの方がいい。それに、英語以外のスパムは削除するのも簡単だ。知り合いから来たものでないことがすぐ分かるからだ。

 例えば、私はわれわれのサイトの記事を読むまで、スパムフォルダで最近見つけたドイツ語のメールが、欧州戦勝記念日の60周年に関連するネオナチのプロパガンダサイトにリンクされているのを知らなかった。このスパムを送ってきたのは、連合国軍がベルリンに入城したときには祖父母すら生まれていなかったスキンヘッドの負け犬に違いない。

 これより前に同じくSoberウイルスによって、ワールドカップサッカーのチケットが確実に手に入るとうたったスパムが流されたが、これはなぜか見逃した。それにしても、無防備なPCに仕込まれたウイルスによってスパムがばらまかれるということを考えると、こんな疑問が浮かんでしまう。スパム(とウイルス)を送信する連中と、ウイルス対策ソフトを自分のPCにインストールしたりその更新をするのを面倒くさがって、知らずにスパムを転送してしまう人たちでは、どちらがよりたちが悪いのだろう。

 外国語のスパムの中でも特に気に入っているのは、アジアの文字セットが使われているものだ。何語なのかさっぱり分からないが、見ていてきれいだし、添付ファイルをちょっとでも開こうという気になったことはこれまでに一度もない。こんな楽しみ方ができるのは、前は西欧語以外の文字セットのメールをすべて削除するスパム対策プログラムを使っていたが、今使っているサーバベースの対策プログラムはそうはしないためだ。

 スペイン語のスパムも同じくらい簡単に気付いて削除できるが、高校で覚えたスペイン式英語を記憶から引っ張り出して、かろうじて何について書いてあるか分かることもある。スパムは語学の練習にも使えるわけだ。

 では、今度は英語のスパムについて、あるいは、少なくとも英語で書こうとしているスパムについて見てみよう。とりわけ愉快なのは、若い女性から送られたことになっていて、私と会いたいと書いてあるものだ。こうしたスパムは大抵、英語の書き方がめちゃくちゃで笑える。それが何度も送られてくるうちに上達していくのを観察するのも楽しいものだ。もちろん、これは本当に「テキサス・ハイスクール・ヒューストン」の18歳の「ジュリー」が連絡してくれているのかもしれない。あるいは、本当にルーマニアの28歳のプログラマーなのかも。あなたならどうするだろう?

 時には、スパムがどうやってフィルタをかいくぐってきたのか調べてみることもある。スパマーはMicrosoftが把握していないどんな手口を使ったのか? だが、はっきりつかめないことが多い。

 スパマーとその顧客の間の心理ゲームも不思議だ。例えば、メールに書かれた処方薬の名前のスペルが間違っていたら、私はその送り主は怪しいことこの上ないと思う。自分でスペルが書けるわけではないけれども、ミススペルは分かる。では、そういう連中に誰が送金するのだろうか。思うにそれは、自分たちはおとがめなしでうまい取引ができると考える虫のいい人たちだろう。実はカモにされているだけなのに。

 金をドブに捨てた顧客たちは、スパムを取り締まる側が陰謀をめぐらして、自分たちが欲しい薬を手に入れられないようにしているとでも思うのだろうか。彼らにしてみれば、スパムの取り締まりはMicrosoftと政府当局が、最近のスパムに「ViAGRRA VALiUMM C1aL1S」と載っていたようなものを人々に入手させないために、結託して仕組んだ邪悪な策略ということになるのかもしれない。

 フィッシングに関しては、こう考える人が多いだろう。取引のない銀行から山ほどメールが来たら、誰も返事などしないはずだと。また、ほとんど1時間ごとに警告メールが届くのに、自分のPayPalやeBayのアカウントが問題なく使えていることに人々は気付くはずだと見る向きもあるだろう。

 だが残念なことに、今の状況を見ると、実際に「お勧め」に応じてしまう人々に首をかしげざるをえないし、彼らの被害が心配になってしまう。スパムとオンライン犯罪は決してなくならないだろうから、われわれは今よりもっと守りを固め、そして被害者予備軍への教育を進める必要がある。

 しかし、本物の楽しみに出会えることもある。それはオンライン犯罪者がTVカメラの前に連れ出され、刑務所に直行するのを見るときだ。これこそ、われわれが心おきなく楽しめるスパムの醍醐味だ。

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