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液晶パネルからインジウムをリサイクル、シャープが成功

» 2005年05月24日 18時34分 公開
[ITmedia]

 シャープは5月24日、液晶パネルから希少金属のインジウムをリサイクルすることに成功したと発表した。液晶生産の増加でインジウム需要は高まっており、廃棄パネルからのリサイクルを実用化し、将来の安定確保を図っていく。

インジウム回収の処理フロー

 パネルを粉砕した後で酸を使って溶解し、新開発した技術を使ってインジウムを分離する。高温高圧などのエネルギー負荷は不要で、一般的な薬品を使って高純度のインジウムを回収できるという。今後、実稼働に向け大型実験機による検証実験を進める。

 インジウムは、液晶パネルのガラス基板に吹き付けられた透明電導膜にインジウム・すず酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)として使われている。現状では代替物がなく、液晶パネル生産に必須となっている。

 インジウムは亜鉛鉱の副産物として生産される。世界全体の年間生産量は約500トンで、うち300トンが亜鉛鉱から、200トンが液晶工場の廃棄部品などから回収されたリサイクル品だ。

 だが液晶需要の拡大で需給がひっ迫しており、価格は高騰。将来の供給不安もあり、液晶各社のネックになるとの指摘もある。

 今後は買い換えなどで廃棄されるパネルも増えることが予想されており、シャープはリサイクル技術を確立することでインジウムを安定的に確保していきたい考えだ。

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