Googleが5月26日にβテストを開始した書籍検索サービス「Google Print」をちょっと見ただけでも、大学や非営利出版団体が大規模な著作権侵害を心配する理由は分かる。
このサービスは、誰でもキーワード検索を実行して、すぐに数百冊、数千冊の書籍の中でそのキーワードが出てくる箇所を見つけられる強力なツールだ。
確かにこれは、名前、文学作品のフレーズ、歴史的な出来事といった知識の断片が登場する、考えられる限りのあらゆる箇所を探している研究者にとって強力なツールと言える。
だが一見したところでは、作家や大学の研究者の著作権を侵害する莫大な機会をもたらすようにも見える。
125校の大学の非営利出版部門を代表する団体が、Googleに書籍検索プロジェクトで多数の書籍を電子化し、検索可能にする権利があるのかと問う書簡を書いたのはそのためだ。
Googleはオクスフォード大学、ニューヨーク公立図書館、ハーバード大学、スタンフォード大学、ミシガン大学の蔵書をデジタル化する計画を発表した。
大学出版部門は特に、Googleがパブリックドメインの書籍だけでなく、ハーバード大、スタンフォード大、ミシガン大の図書館の著作権付きの書籍もデジタル化することを懸念している。
これら図書館の書籍が現行のβ版のアーカイブに含まれているかどうかは不明だ。しかし、検索結果は確かに包括的なものに思える。数回検索してみたところ、Print検索サービスは著者名や歴史上の人物、その異名で検索して数百の書名を非常に効果的に引き出せることが分かった。
著者がGoogleに明確な許可を与えていない場合、これらの書籍を探し出す機能が著作権を侵害するのかという疑問が出てくるのはもっともだ。
しかし結局は、このサービスのユーザーが著作権付き素材を乱用、不正流用できないようGoogleが気を配れば、作家や学者が受ける潜在的なメリットが著作権侵害の懸念を上回ることになるだろう。
ユーザーは文献や抜粋を読むことができるが、Googleの検索エンジンで検索可能なスキャンされたページを印刷することはできない。そのページをほかの文書にコピー&ペーストすることも不可能だ。
Adobe Acrobatファイル形式で発行した文書の印刷・コピー機能をオフにしているようなものだ。
Googleの検索エンジンは検索キーワードを含むページを約3ページしか表示できない。Google Webページ上で書籍や学術論文の全部を読めるわけではないのだ。
確かにGoogleは、綿密な著作権保護を期待していいのかという明白な作家の懸念に答える必要がある。しかし長期的には、出版元と作者はGoogle Printの宣伝効果により、売上増という恩恵を受ける可能性が高いように思える。
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