米AMDは対Intelの独禁法訴訟をめぐり、連邦議員や一般のコンピュータユーザーの支持も勝ち取りたいと考えている。
AMDから送られてきたメールによれば、同社は6月29日、全米で計7紙の新聞紙に全面広告を掲載し、同社が訴訟を起こした理由を説明するとともに、新聞読者に対し、48ページにわたる訴状の全文を詳しく読むよう促した。
「対Intel独禁法訴訟:なぜAMDは提訴したか」と題されたこの広告は、AMDのライバルであるIntelがマイクロプロセッサ業界における競争を阻害し、制限したと指摘している。さらにこの広告は、Intelの5つの商行為を批判している。AMDによれば、そうした行為は、大半の競争的状況においては「単なるビジネス」にすぎないが、独占企業によって行われた場合には違法となる。またAMDはこの広告の最後で、同社が6月27日にデラウェアの連邦地方裁判所に提出した訴状の全文をダウンロードして目を通すよう、読者に呼び掛けている。
アナリストの1人によれば、AMDの訴状の文体は法律用語を使った難解なものというよりは、文学的で、法律関係の文書にしては珍しく、読みやすいものになっている。
「法律関係の文書は通常、これほど分かりやすくは書かれていない」とGartnerの副社長ブライアン・ガメッジ氏は指摘している。
同氏によれば、AMDの狙いは単にIntelとの法廷闘争に勝つことだけではないようだ。
「一般の人たちの注意を喚起する、という意図もあるようだ。今回の訴訟によって世間に注目されることも、狙いの一部だ」と同氏。
AMDが広告キャンペーンの対象として選んだ7紙からも、幅広い読者層に訴えようという同社の意図が見て取れる。
まず最初の1紙は、技術業界でよく読まれている地元紙の「The Austin American-Statesman」だ。同紙は、テキサス州オースティンのAMDの主要チップ製造工場の周辺地域をカバーしている。オースティンには、Intelもオフィスを構え、約550人の従業員が次世代マイクロプロセッサの設計に携わっている。またカリフォルニア州サンノゼの「The Mercury News」は、IntelとAMDの本拠地であるシリコンバレーの読者を念頭に置いた選択だ。
ターゲットには、国会議員や政治的なロビー団体も含まれている。AMDの広告は、ワシントンD.C.の議事堂周辺のニュースを扱う2紙、「The Hill」と「Roll Call」にも掲載された。
さらに今回の広告は、一般のビジネスマン向けには「The Wall Street Journal」に掲載され、ホームユーザーや企業ユーザーなど、一般のコンピュータユーザー向けには、大都市圏の日刊紙である「The New York Times」と「The Washington Post」に掲載された。
Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR