米国には犯罪者が自分の犯罪から利益を得ることを禁じる法律がある。有名な犯罪者が本を書こうと思った場合、その利益は被害者への補償に使われることになっている。しかし、Microsoftがかつて「Gator」と呼ばれていた企業を買収しても、どういうわけか、その利益がGatorのアドウェアに脅かされたユーザーに渡ることはないだろう。もっとも、そんな事態にはならないため、Microsoftはその名声をほぼ損なわずに済むはずだ。
6月29日にWall Street Journalに掲載された記事の導入部分は、次のようなものだった。
「Microsoftはオンラインマーケティング会社Clariaの買収に向けて交渉してきたが、一般市民の反応に関する懸念が、この交渉を破談にするかもしれない。この件に詳しい情報筋がこのように伝えている」
わたしは「この交渉を破談にする」ためにできるあらゆることに参加する。それが実現された暁には、この狂気の沙汰に関与しているMicrosoftの担当者は誰であれ、同社オフィスのスポーツフィールドに引きずり出して、人前で恥をかかせるべきだ――Clariaを買収すれば、Microsoftはそういう目に遭うことになるからだ。それは当然のことだ。
ClariaがGatorとは違うということは分かっている――正確に理解しているわけではないが。Clariaは最近、Gatorのアドウェアよりは少々マシなオンラインマーケティングツールを使っている。このアドウェアは、自社サイトの広告がGatorの広告で覆われることにうんざりした報道機関から訴訟を起こされる原因になった。
報道機関はWebサイトビジターを集めるために投資しているが、Gatorをインストールしているビジターは、報道サイトの正規の広告ではなく、Gatorが販売した広告を目にすることになる。
Microsoftはこのような連中に見返りを与えたいと思っているのだろうか? わたしは常々、Gatorの連中は刑務所行きになるのがふさわしいと思っていた。彼らと提携している企業にも、定期的に苦情を言っている。例えば、わたしは今でもWeatherBugとは関わりを持ちたくない。
Microsoftは自社のオンラインサービスを介して広告を配信する新しい方法を模索している。彼らが邪悪な目的のためにClariaを買収しようとしているとは思っていない。だが、彼らがClariaを買収すれば、悪党に報いることになるとは考えている。
わたしはNapsterについて言っていたことを、Clariaに関しても繰り返すつもりだ――「社会的に無責任な(あるいはとがめられるべき)企業に投資する者に、報酬を与えるべきではない」。Gatorに関与する連中は、他者のWebサイトの広告収入を盗むためのビジネスを作り出した。
彼らはユーザーに独自のクライアントをインストールする「タダの」ソフトを提供することでこうしたビジネスを展開している。このソフトが広告を置き換えるのだ。ほとんどのユーザーは何が起きているかを知らないか、自分のシステムにGatorがインストールされたことすら理解していない。
結局、メディアがGatorのことを知るようになり、同社は社名を変えて過去を隠そうとした。名前は変えられても、過去は変えられない。
Microsoftが広告配信を改善するソフトを開発したいのなら、それは良いことだ。Clariaが破綻し、Microsoftがその知的財産を競売で二束三文で買えれば、わたしとしては大喜びだ。だがMicrosoftがGatorに関わる人間にいかなる形であれ報いることは受け入れられない。
もちろん、Microsoftの次の計画がBackOrifice、Netsky、次のスーパーウイルスを作っている3人のルーマニアの学生に投資することでなければ、の話だが。Claria、つまり元Gatorはこのグループにぴったりとはまる。
しかし、時にはMicrosoftを自分自身から救ってやることも必要だ。さあ、交渉をやめさせよう。
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