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IEの10周年に思う“もしも”(1/2 ページ)

» 2005年08月25日 16時30分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 MicrosoftのInternet Explorer(IE)は8月24日に「10」になる。これは「10年」だ。バージョン番号ではない。バージョン番号は今、「7」に向かっているところだ。IEはおそらく間違いなく、この10年でユーザーのデスクトップに登場した最も重要なソフトだが、その登場は良くもあり悪くもあった。これを忌むべきものと考えている人もいるかもしれない。

 IEはWindowsにある程度影響を与え、さらにはわたしたちがデータファイルに接続する方法を変えた。また、セキュリティ面ではたくさんの問題に道を開いた。

 確かに、最初に登場したのはNetscapeとMosaicだった。だが、皆さんはこのコラムをどのブラウザで読んでいるだろうか? たぶんIEだろう。

 とは言え、この10年は「ブラウザの10年」と呼ぶべきだ。IEではない。というのも、もしもMosaicが世界を変えることがなかったら、Microsoftが独自ブラウザを投入するのにどれだけ時間がかかったか分からないからだ。

 ここで別の歴史を考えてみよう。もしもアーバナシャンペーンのNCSA(スーパーコンピュータ応用研究所)がMosaicブラウザを発明しなかったらどんな歴史になっていたのかを。

 Microsoftがインターネットに取りかかったのは比較的遅く、Windows 95のリリースに合わせて取り組んでいた。もしもMosaicの子供であるNetscapeが大きな影響をもたらしていなかったら、Microsoftはあの時期にIEを開発しただろうか? たぶん、しなかっただろう。

 そして、もしもIEの登場が遅れていたら、もっと優れたソフトになっていただろうか?

 そうだと思いたい。だが、IEは大きな成功を収めてきた一方で、OS以外のどのソフトよりも問題を引き起こした。MicrosoftはIEはOSの一部だといろいろ主張してきたので、実際はこの区別には議論の余地があるのかもしれないが。

 確かに、IEはこの10年間にリリースされた最もセキュアでない主要ソフトのトップに挙げられるかもしれない。わたしが知る限りではこういう指標を測る標準化団体はないので、推測でIEにトップの「栄誉」を与えよう。だが、IEがフィッシングなどのさまざまなネット詐欺や、ポップアップ広告のような迷惑なものを可能にする上で役割以上のことを果たしたと言っても差し支えはないだろう。

 これについては、「IEはよりシンプルでより素朴な時に投入された」と言うのが親切かもしれない。しかしMicrosoftはIEを顧客にとって安全な場所にすることにかなり手間取ってきたとも言える。この点は来年IE 7で対処されることになっているが、悪党がこのブラウザに挑戦するまでは判断を保留したい。

 IEが統一的なインタフェース――エスペラント語のデスクトップUI版――になるという予測は実現されていない。時が経つほどに、そうなる可能性は低くなる。確かに、IEのメタファーはわたしたちのファイルシステムに対する見方を変えたが、MicrosoftとAppleが(それぞれWindows VistaとMac OS Xで)検索ベースのファイルシステムへと動く中で、それもまた変わるだろう。

 ブラウザはファイルシステムに与えたほどの影響を、アプリケーションのルック&フィールには及ぼさなかった。WebベースアプリケーションとJavaが、アプリケーションに変革を起こすはずだったのだが。前者はまだ前進中だが、Javaはおそらくこの10年間の劣等生だったと言えるだろう。

グッバイ、Windows――とはいかなかった

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