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「東京大仏TV」 今年も24時間放送

» 2005年08月26日 23時14分 公開
[ITmedia]

 民放キー局が総力をあげて毎年恒例の24時間番組を放送する8月27〜28日、東京・板橋からも超局地的な24時間ネット放送が発信される。「東京大仏TV」。都民でも知らない人がたまにいる東京大仏のおひざ元で、今年もぶっつけ本番な生放送が始まる。

「こんなんでもいいんだ」

自宅スタジオの農宗さん(右)と粟村さん

 「すいません、突然始めちゃいまして…なんで突然始めるの?」

 「え?だって、見てる人がいるから」

 こんな調子で毎週日曜日の夜10時、東京・板橋区赤塚の1室で始まる生放送。農宗靖也さんと粟村淳子さんの「東京大仏TV」だ。

 名前は近所の「東京大仏」からつけた。農宗さんは広島出身、粟村さんは埼玉出身。5年前に部屋を借り、赤塚に住み始めた。

東京大仏。「大仏サブレー」は地元住民なら知っている

 放送を始めたきっかけは、佐々木博さんらが運営していたネット放送の草分け「神南TV」。Web関係の仕事をしていた2人は、“3人で放送して2人しか見ていないテレビ”に驚く。「いい大人がなんてくだらんものを。『こんなんでもいいんだ』としびれた」(粟村さん)

 当時、ライコスが運営していた無料サービス「マイブロードキャスター」を使って2002年5月、東京大仏から初めて放送した。バイオノートとPHSの32Kbpsで放送したところ、早速「音声や画像が切れる」と視聴者から反応があったという。

 その後、毎週1回のペースで放送を続けている。休んだのは、マルタ共和国に海外旅行に出かけた1回だけで、この時はアクセスポイントが見つからなかったから。「交通事故の時は病院からやった」(農宗さん)

 基本は、2人が同居しているマンションの1室内に設けたスタジオからの生放送。事前に撮影したビデオを用意することもあるが、「放送前に『今日どうしよう』」と「いきあたりばったり」が多い。生放送中にウイルス「Sasser」にやられてびっくりしたこともあった。

 生放送をリアルタイムに見ているのは多くて20人くらい、バックナンバーをクリックする人は各回当たり200人くらい。生放送中に視聴者とチャットするのが楽しく、予想もしていなかった方向に話が進んでいくこともよくある。近くに住む友人が放送中にやってきて顔を出す。事前にあまり準備しないのは、実はこんなリアルタイム性が好きだからでもある。

 ブロードバンドの普及とともに回線もADSLからFTTHへと高速化していった。配信に使っている機材は、Pentium 4/2.4GHzマシンと、無償配布されているWindows Media 9エンコーダを使っている。ストリーミングサーバはディジタルスタジオの好意で無料で借りている。

放送機材。PCのほか、カメラやUSBキャプチャー、ミキサーなど

「ネット放送はやるほうが楽しい」

 24時間放送は今年で4回目。最初は神南TVの24時間放送にのっかるつもりだったが、「どうせなら自分たちだけでやってみたい」と挑戦した。実際に24時間ぶっ続けで放送してみると「終わった後も祭りの後みたいで気持ちよかった」が、ちょっと体力的にきつかった。

 今年の放送は12時間×2日間で24時間。8月27日は午前11時から午後6時まで、地元・赤塚一番通り商店街の店の前から放送する。商店街のインタビューや「赤塚マニアッククイズ」など、企画も用意している。

 以前は商店街にインターネット放送を説明しても理解してもらえなかったが、最近はネット回線も商店に普及し、逆に店から放送を頼まれるようにもなった。

 ブロードバンド回線とPC、Webカメラ、マイクがあれば「ネット放送局」はできてしまう。ただ、ネットラジオや流行の兆しを見せているポッドキャスティングなど、個人の音声番組は多いが、「テレビ」は意外に少ないのが実情という。

 「そもそも続ける気はなくて、飽きたらやめようと思ってた」が、大仏TVは今もゆるゆると放送中。粟村さんは「ネット放送はやる方が楽しいと思う。ぜひ自分でも放送を始めて、“出演する恥ずかしさ”を味わってほしい」とすすめている。

200人で撮る映画「I ask U」

 東京大仏TVが続くうち、本業も映像関係に変わった2人。200人で撮る映画「I ask U」というプロジェクトを進めている。200人が撮った1〜3分くらいの映像で構成する映画で、上映する順番は毎回PCでランダムに決める。映像は広く募集中。詳細はWebサイトで。

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