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Google Talkは本当に必要か?

» 2005年08月29日 17時12分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 世界が必要としていない新しいメッセージングシステム――Googleは今、まさしくそれを提供し始めている。以下、少なくともGoogle Talkの最初のリリースに関してかなり感情的な見解を述べることをお許しいただきたい。

 私のデスクトップ上には、ほとんどいつもMSN、Yahoo!、AIMの3つのIMクライアントが開いている。まだIMアカウントを持っておらず、Googleの新サービスに引きつけられる人は現在どれくらいるのだろう? そう多くないはずだ。それとも同社は、ライバル企業が太刀打ちできないような、何か新しい手を用意しているのだろうか? 今のところ、そうは見えない。もちろんこれまでに築き上げた既存のユーザーベースを引きこむことはできるだろうが、IMクライアントの多さに既にうんざりしている人々をGoogleに移行させることは難しいかもしれない。

 これまでGoogle Talkに関する幾つかの記事を読んでみても――見落としているのかもしれないが――私は、答えをまだ見つけられない大きな問題を抱いている。その疑問とは「Googleはいつから、コンテキスト広告を表示する目的で人々のIM対話の内容を解析し始めるのだろう?」というものだ。

 同社は既にGmailで解析を行っており、メッセージ内容に合わせた「適切な」広告を表示している。IMについても、同じことをしないと言い切れるだろうか?

 私には、“人々の対話を肩越しに見る”これまでのGoogleの行為すべてがとにかくイヤなのだ。彼らが「信用してくれ」と言う手法は、私だけでなく、誰にとっても納得し難いものだろう。ほかのIMや無料サービスが対話内容をのぞき見できない言っているのではない。ただGoogleについては証明できると言いたいのだ。しかもメール内容を読む目的というのが、単に、よりターゲットを絞った(つまり今まで以上に迷惑な)広告を表示するためなのだ。ひどい話である。

 もちろん、こうした広告のおかげで無料サービスが利用できるわけだし、私自身、時々「Ads by Google」をクリックしていることは周知の事実だ。だがTVとラジオについて言えば、私はCMを飛ばすために料金を支払っている。AccuWeather(天候情報サービス)からも料金を支払って広告を抜いているし、そのほか広告を抜く有料オプションがあるサービスではそうしているものが幾つかある。Googleに同じようなオプションがあれば利用したいものだ。

 Googleは有料で広告のないサービスを提供すべきだろうか?

 この答えを判断するに当たって、まずGoogleが有料に価するか否かを考えてみよう。かつてGoogleがほかのどの検索サービスよりもはるかに優れていた時代があった。当時なら私は「イエス」と答えていただろう。しかしGoogleの登場以前、Alta Vistaについても私は同じことを言っていたかもしれない。

 Googleは今でも最良の検索エンジンだが、最近ではほかの検索エンジン、特にMSNが追い上げている。だがGoogleが今直面している最大の問題は、検索結果がほころびかけていることだ。

 現在のGoogleは、かつて検索結果の表示位置をどう決めるかについて公言していた頃ほどオープンではなくなっている。確かに、同社が幾つか別の事業に手を出してから、中核であるはずの検索事業がおかしくなり、今もそのままだ。わたしの知人はGoogleからほかの検索エンジンに乗り換えている。

 特に問題なのは、ランキング最上位に表示されるサイトが実際にはサイトでも何でもなく、ほかの検索サイトやオークションサイトに誘導するだけのページだったりする点だ。Googleはこうしたインターネットのコミサイトを排除すべきなのだが、まだうまくいっていない。

 仮にGoogleがこうしたまがいもののコンテンツを追放する手法を見つけたとしよう。しかしそれでも、Googleの検索結果の範囲が広過ぎないと言えるかどうかは疑わしい。私はこれを科学的に証明することは到底できないが、直感的に、Googleは検索結果にコンテンツを入れ込み過ぎだ。このため多くの人々が求めている「正しい」コンテンツがはっきりと見えてこない。

 これに対しMSNの検索結果を見ると、Microsoftは私と同じ見解であるとの印象を受ける。MSNは検索結果としてカバーする範囲が限定されているようであり、このことは――私が探しているものをまったく理解してくれない場合を除けば――素晴らしい。

 もちろん、有料のGoogleにした場合、広告は、検索エンジンからだけではなくGmailやGoogle TalkなどあらゆるGoogle製品から取り除かれるべきだ。私たちが実際に有料サービスを使い、広告ベースの選択肢を利用しないで済むようになって初めて、有料Googleは私たちの生活から広告を大幅に取り除けるようになるだろう。

 Googleの検索結果は有料に価しないのかもしれない。しかしIM広告、ニュースサービス広告、無料の電子メール広告、このほかGoogleが手掛けるあらゆるものに挿入されている広告をデスクトップ上から排除できるのなら、それはそれで説得力があるというものだ。気を散らす要素を少しでも減らしたいと考え、そのためなら有料でも構わないという人々にとっては、真の勝利となるだろう。

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