日立製作所とエクセル・オブ・メカトロニクス、日本ALS協会は9月26日、ALS(筋萎縮性側索硬化症)で体が全く動かせない患者が、問いかけに対してYes、Noのどちらを答えたいのかを、脳の血流量から判定する装置「心語り」を試作したと発表した。年内にエクセルから発売する。
ALSは筋肉がやせる病気で、症状が進むと身体を全く動かせない「トータリーロックドイン状態」(TLS)になる。TLSのALS患者は国内に約70人いると推定されており、頭脳の働きは正常でも、介護者の問いかけに答えることができない。
心語りは、近赤外光を使って脳の血流量を測定することで患者の意思を判定する。患者がYesと伝えたい場合は、暗算したり、頭の中で歌を歌ってもらって脳を活性化させ、血流量を増やしてもらう。Noなら安静状態を保ってもらい、血流量を維持してもらう。
患者の額に装着した装置で、問いかけから36秒間の血流量の変化を測定し、データを専用PCに転送。事前にプログラムしておいた患者個人の血流量データと照らし合わせてYesかNoかを判定する。判定の精度は80%程度に高めたという。
日立は、TLS患者を介護する家族の要望を受けて1999年から装置の開発をスタート。エクセルが製作した試作装置を改良しながら実証実験を繰り返してきた。
同製品は、「国際福祉機器展」(9月27日〜29日、東京ビッグサイト)で展示する。
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